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#15

なんとなく嫌な予感がして戻ろうとしたとき、爆発音が響いた。

私は急いで四人のところに戻った。

……四人が燃えていた。

私は動けなくなった。何も考えられなくなった。


…………………………どれだけ時間がたったんだろう。

幸い、火はそれほど燃え広がらなかった。それと、誰かがやってくる気配もない。サイレンなんかも聞こえない。ここはそれだけ人里から離れたところだったんだと、ふいに思った。


もうすっかり火は消えていた。私はふらふらとそれに近づいた。焦げたにおいのする大きな黒い物体。この黒い物体が、大ちゃんで、均ちゃんで、三井君で、優さんで。

……信じられない。信じたくない。

さっき別れるまで死んでたけど、動いてた四人。

どうしてこんなことになってしまったのか。どうして。


私には何もできなかったの?何かできなかったの?できることがあったんじゃないの?


答えは…………わからない。

あったのかもしれない。なかったのかもしれない。

どっちであっても、もう過去のこと。過ぎてしまったこと。


ふと、思い出があふれる。


いろいろあった今までのこと。そのすべてが浮かんでは消え、また浮かんでは消えていった。

これも走馬燈っていうのかな。

私は今、死にそうなのかな。でも、うん。心が死んじゃいそうかも。


現実感もなく、ただ茫然と佇むことしかできない私。

このまま、私は動かなくなるのかもしれない。そのまま朽ちていくのかもしれない。


思えば、これが三人の出した結論だったのかも。

私が何かできても、何かしたとしても、決めてたことだったのかも。

そんなの、勝手すぎる!

こんなところまで呼んでおいて、勝手に終わらせるなんて!


でも、と思う。

それぞれの気持ちもわかる。わかるから腹も立つ。

少しずつ、私の感情が動き出す。

怒りが。苛立ちが。……悲しみが。


感情が溢れだす。いろんな感情が溢れだす。

何の感情かも、私にもわからない。

ただただ溢れてくる。

その感情たちは形となって目からこぼれた。

一粒、二粒、どんどんこぼれる。溢れる。

足が震える。もう立ってられない。

膝から崩れ落ち、地べたに座り込んで、顔を両手で覆った。

溢れでるものは止められない。

こんなこと、初めてかもしれない。

私は私なんだけど、私じゃないみたい。コントロールできない。


大ちゃん。均ちゃん。三井君。優さん。


どうして!どうして!!どうして!!!


答えのない問題に振り回される私。

感情の行き場もない。

堂々巡り、イタチごっこ。

キリがない、終わりがない。


泣いて、泣いて、泣き続けて、私はそのまま意識をなくした。



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