八十六話
「おぉ!いつの間にか私の前にアイコがあるであります!」
晃穂の前に店員さんが頼んでくれたアイスコーヒーがあった。
「飲んでいいでありますか!?これは飲んでいい流れでありますか!?」
店員さんは笑顔で頷いた。
「おぉー!やったであります!今日はミルクとガムシロをたんまり入れるであります!」
甘〜くなったアイスコーヒーをちょっとずつ飲む晃穂。
「あまーーい!美味しいであります!アイコは美味しいであります!」
黒から褐色に変わったアイスコーヒー…。
「コーヒーの苦味をミルクとガムシロが中和して、青春のほろ苦さを表したようなシンフォニーを醸し出しているであります!アイコは最高であります!」
「なんでこいつ、アイスコーヒーだけでこんなに感動してるの?イミワカンナイ!」
アイスコーヒーに感動している晃穂に対して、理解不能なドクターマリ。
他のみんなはウーロン茶を飲んでいる。
「なんでメイド喫茶に来てまでウーロン茶飲んでるのだ…!?」
「あれですよ?オムライスを頼んだら、萌え萌えとか言って何か描いてくれるのでは?」
ウーロン茶飲みながら悪態をついてる弥七に対して、沖田さんが思いついたように言った。
「頼んでみるのだ!」
「雲雀さんー、オムライスお願いするのだー」
「オムライスですね。かしこまりました」
なぜか、一瞬こちらを睨んで注文を復唱する雲雀。
メイド喫茶なので、すぐできるオムライス。
「お待たせいたしました。オムライスでございます」
「何か描いてなのだー!」
「かしこまりました…」
オムライスにトマトケチャップで、なにやら文字を書いて行く雲雀。
『殺してやる晃穂』
そう書かれいていた。
「うわぁぁっぁ!?なんで私なんでありますか!?しかもケチャップなので血文字みたいで尚更怖いであります!」
「こ、これは全く萌えないでござるな…」
「こ、怖いのだー!血糊みたいなのだー!」
あまりの凄惨なオムライスに一同、悲鳴をあげる。
「晃穂への積年の恨みを書いて見ました。てへ」
雲雀はぶりっ子しながら言った。
「雲雀さんひどいであります!そんなに恨まれてるでありますか!?」
「そりゃ、恨んでるに決まってるだろ!」
ものすごい形相で睨みつける雲雀。
普段の優しいメイドの雲雀とかけ離れた態度に一同呆然としてしまうのであった。
おいおいと泣き崩れる晃穂。無言で肩を撫でる店員さん…。
なんともいえないシュールな空気が流れていた。




