七話
私、澤口松子は今日という日が、とても楽しみだった。
高校生になって、ずっと陰キャだった私は友達がほとんどいなかった。
まず、なんで松子なんて名前をつけたのだ。昭和か?
親をものすごく恨んだ。
最初は級友たちに名前をいじられたが、それにも飽きたのか、誰も松子を相手にしなくなった。
幼なじみの親友がいるが、クラスが違うので登下校のときに会うか、たまに遊ぶぐらいだ。
私はなんて不幸なんだ。私は嘆いた。
別にいじめられてるわけでもないし、たいして不幸でもないが。そう自分に言い聞かせた。
せめて、美少女に生まれればなぁ。
でもあいにく、私はどちらかと言えば、ブスだ。
目が大きくて、奥二重だが、あとのパーツが全部小さい。身長も小さい。
鼻もぺったんこ。口もおちょぼ口。
髪も、おかっぱなので、陰で座敷わらしとか、こけしとか、あだ名がついてるらしい。
しかも、目が悪いので、でかい黒縁メガネをかけている。
なんとも言えない顔をしてるらしい。
私はだんだん、ネットにはまり出した。
ネットなら自分の姿関係ないし、言いたいことも言えた。
最近のネットは発達していて、バーチャル空間がほとんどだった。
私はハンドルネームをマコにして、アバターも美少女にした。身長は変えなかったが。
ちょっと子どもっぽい格好だか、周りの反応は悪くなかった。
ネットなので、服も選び放題だ。
ゴスロリ系が何故か好きでよく着た。
ある日、いつものようにネットサーフィンをしていると(バーチャル空間を散歩している感覚だが)
とてもかわいい女の子の広告があった。
栗色の髪に満面の笑顔。太陽みたいなかわいい笑顔。
女子高生の制服を着ている。すごく似合っていた。
自分とは正反対の女の子。
アイドルなのか?
広告をよく読んでみると、その女の子は人工知能だった。
人工知能の鳴宮晃穂と自由にお話してみませんか?本日オープン!そう書いてあった。
人間のアイドルとかは、興味ないが人工知能なら面白そうだと思った。
無料だというので、すぐにそのサイトに行ってみた。
最初、晃穂とはチャットでしか、会話できなかった。
無料なので、こんなものか?と思ったが、正直物足りなかった。
そのうちバーチャルになったが、月額課金制になった。
お小遣いで、どうにかなったので、払い続けた。
バーチャルでの晃穂は可愛かった。
多少、口が悪いが、私も口が悪いので気にならなかった。夜通し他愛もない会話を楽しんだ。
多少高い金額を払うと晃穂と、二人きりで話せた。
バーチャル空間なのに、晃穂の匂いを間近に感じた。
シャンプーのいい匂いと、少しお日さまの香りがした。
男だったら、惚れてしまっただろう。
いや、私は晃穂に惚れてしまったのかもしれない。
いつしか、私は晃穂に甘える振りをして、抱きついていた。
晃穂の体臭を思い切り吸い込んだ。あまりにいい匂いがして、頭がクラクラした。
晃穂に抱かれたまま、寝てしまった日も、たびたびあった。
それ以上のこともしたかったが、BANされても嫌だったので、やめておいた。
晃穂がいれば、何もいらないぐらいにはまってしまった。
友達も恋人もいらない。そう思った。
だんだんサイトは人気をなくし、ユーザーも減ったが関係なかった。
しかし、そんな楽しい日々も長くは続かなかった。
ある日突然、晃穂のサイトに入れなくなっしまったのだ。




