六十六話
それから数日後の週末、西多摩郡の払沢の滝に行くことになった。
朝早く起き、晃穂のために昼食を作ることにした。
したが、私は料理をしたことがない。
握り飯ぐらい作れると思ったが、ご飯も炊いたことがない。
炊飯器も家になかった。早くも詰んだ。
オート電化キッチンでご飯を出し、握ることにした。
確か、手を塩水で湿らせご飯を握るんだったか?
脳内ネットで調べると、氷水で手を冷やし、そのあと塩を摘まみ手のひらに塩を広げるらしい。
それで、ご飯を握る。冷たい。そして、ご飯は熱かった。
涙目になりながら、ご飯を握る。
こんな簡単な料理もうまくできないのかと、違う意味で泣いた。
歪なおにぎりを6つ作った。私と晃穂、3つずつだ。
本格的な料理できる人は尊敬してしまう。脳裏に雲雀の顔が浮かぶ。
雲雀は本当に偉いな。料理はうまいし、メイドとしても有名だし。
最近考えるのだが、晃穂に対する好きと雲雀に対する好きは何か違うということだ。
やはり、私は晃穂に恋してるのかな?と思う。
少し前なら、誰かのために料理するなんて想像もつかなかった。
まぁ、こんな料理とも言えないおにぎりだけど。晃穂ごめん。
おにぎりとオート電化キッチンで出したおかずを、お弁当箱に詰めて家を出る。
玄関を開けると、ちょうど晃穂が立っていた。
「おはようであります!マコちゃん!」
「おはよう、晃穂。今来たの?」
「そうであります!玄関開けようとしたら、先に開いてビックリしたであります!」
ちょうどいいタイミングだ。
私から腕を絡ませ、晃穂に言った。
「さぁ、修行の旅に出発よ!」
「このマコちゃんノリノリであります!」
腕を組んで歩いて、私は晃穂の体に密着した。




