六十一話
神保町の片隅の鳴宮研究所についた。
「ごめんください」
引き戸を開け、中に入る。
「おや、マコちゃんかい?いらっしゃい」
どこか疲れてる百合子さんが出迎えてくれた。
「晃穂いますか?」
「背骨がずれてたから治したが、どこか行ってしまったんだよ。修行してくるとかなんとか言って」
晃穂いないのか?がっかりした。しかも修行?訳がわからない。
「なんか滝がどうしたとか、滝のような汗がどうしたとかって、ずっと言ってたな」
望さんの滝のような汗をどうにかする修行をしているのか?
「ありがとうございます。これ、つまらないものですが」
私はお土産を百合子さんに渡した。
「ありがとう。晃穂がいないから寂しいんだ。マコちゃんゆっくりしていきなよ」
百合子さんに言われたが、丁重にお断りした。
百合子さんはガチレズだから危険なのだ。
私は研究所を逃げるようにあとにした。
東京で滝がある場所を検索してみた。西多摩群の檜原村が有名?らしい。
今から行くと夜か。しょうがないが行ってみるか?
青梅線に乗る。初めて乗ったので少し緊張した。
終点の武蔵五日市駅まで行くらしい。一時間半以上もかかるのか?
東京の秘境か?そもそも村だし。晃穂がいるとは限らない。
脳内チャットを晃穂にしてみた。
『晃穂。今どこにいるの?』
『お?マコちゃんの声が脳内に直接!?』
晃穂が多いに驚いてる。
『脳内チャット送っているの。テレパシーみたいで便利でしょ?』
『科学が魔法を越える時、何かが起きるのですな?』
『いいから、今どこにいるの?何日も学校休んで!』
『言うの恥ずかしいであります。望乃里に無様に敗けて。マコちゃんに会わす顔がないであります』
晃穂がすごく落ち込んでいるのが、わかった。
『私は恥ずかしいなんて思ってないよ。私、晃穂がいないと駄目なの。会いたいから場所を教えて』
教えても何も勢い余って、青梅線に乗ってしまったのだが。
『マコちゃんにそこまで言ってもらうと、私は幸せ者でありますね』
『もう、青梅線に乗ってしまったの。滝で修行してるんでしょ?』
『マコちゃん、エスパーでありますか?すごいであります!でも、なんで青梅線?』
あれ?やはり場所間違えているか?
『西多摩郡にいるんじゃないの?滝で有名だから』
『なぜ、そこで西多摩郡!?』
私は盛大に場所を間違えているらしい。
『そもそも東京にいないの?』
『東京にいるでありますよ。場所は恥ずかしいから言わないでありますよ』
おのれ、晃穂め。なんでそんなに恥ずかしいんだ…。




