四話
「ここはどこなの?白衣の人には死後の世界って言われたんだけど」
思いきって、晃穂は聞いてみた。
「死後の世界って言われたのか?なるほどね。まぁ、あんたは半分死んだようなものか?正確にはあんた、まだ死んでないわよ」
マコは、何か知ってるのだろうか?
「何か知ってるの?知ってるなら全部教えて!」
「知ってるけど、あんたにはショックが大きすぎるわよ。知らないで、安らかに眠ったほうがましよ」
マコにはそう言われたが、真実を知るまでおめおめ死ねないと、晃穂は思った。
死ぬことも、恐ろしいが何も知らないで死ぬのも嫌だった。
「ショック大きくてもいいよ!どうせ、死ぬんだし真実を教えてよ!」
晃穂は必死に、マコに迫った。
「教えてあげたいけど、あいつに口止めされてるの。今度教えていいか、相談してみるわ」
あいつとは、白衣の金髪の女性だろうか?
「あの白衣の女性は何者なの?」
「ここの管理人よ。ここ作ったのもあいつ」
「え!?この世界作ったの!?」
「世界ってほど、すごくないわ。部屋が何部屋かあるだけでしょ?」
話せば話すほど、分けがわからなくなる。
「言っておくけど、あんたはここから外には出られないわよ」
マコはまた、気になることを言い出した。
「え?外に出られないの?」
「そうよ。死ぬまでここにいるの」
晃穂は、暗い気持ちになった。
自分が何者かわからないまま、死ぬことになるし、死ぬまでここから出られない。
「あと、聞きたいことは?」と、マコ。
「私、記憶もないんだけど。なんでかな?」
晃穂は、記憶のことも聞いてみた。
「そりゃあんた。事故の言うなれば後遺症でしょ?私のことも綺麗さっぱり忘れたんだから」
「最後なんて言ったの?」
「なんでもないわ。そろそろ帰ってくれる?」
マコは急に冷たくなった。顔も伏せている。
「あ、あと一つだけ」
「何よ?」
「お腹減ったー。何か食べ物ある?」
晃穂は一番?大事なことを忘れていた。お腹空いたから自分の部屋から出てきたのだ。
「はぁ!?あんたバカァ?あんたがお腹減る訳が…」
マコはいいかけて、しまったって顔になった。
「いいこと?ここは死後の世界なの。お腹は減らないの。わかった?」
「うん、わかった…」
晃穂は、釈然としないが頷くしかなかった。
「しゃべりすぎたわ。早く帰ってくれる?」
「お邪魔しました。いろいろ話してくれて、ありがとう」
晃穂は、マコの部屋をあとにした。
また、遊びにいったら、怒るだろうか?
怒られてもいいから、また行きたかった。