二十六話
そのあと数日がたち、あっという間に日曜日の夜になった。
電車に乗り上野公園に向かう。
上野公園は緑化計画によって、以前よりも広大な森になっていた。
春は桜が咲き乱れ、例年通り人でごった返すが春を過ぎると閑散とししている。ましてや、夜ともなると滅多に人はよりつかなかった。
「ピギャーーーー!」
得体の知れない鳥が、けたたましい鳴き声をあげるばかりでひとっこ一人いない。
「しかし、マコちゃん。雲雀さんは日曜日夜とまたアバウトな時間を指定しましたなぁ?しかもこの広大な森ですよ?我々の居場所がわかるのですかね?」
晃穂がもっともなことを言う。上野公園の場所も指定されていない。
スマホで連絡してみるか?と思った瞬間!
「ピギャーーーー!!」
とんでもなくでかい鳥が私達の頭上すれすれを飛んでいった。人間ぐらいでかいぞ?
鳥は空中を旋回して、なんと私達の近くに降り立った。
いや、あれは鳥なんかじゃない。人間だ。人間の両腕から半透明な白銀の翼が生えている。
異様な光景に私は腰が抜けそうになった。
「こんばんは。松子ちゃん。晃穂。晃穂だけ呼んだつもりが松子ちゃんも来たんだね」
鳥人間?が私のよく知っている声で言った。
「雲雀ちゃんなの!?」
「そうだよ?松子ちゃん。びっくりした?私はアンドロイドなの。空を飛べるように改造されたアンドロイド。作られた人形だよ」
雲雀は泣き笑いのような悲しい顔で言った。
「え?雲雀ちゃんがアンドロイド?でも私達幼なじみだよね?小学生から一緒だったよね?」
「やっぱり松子ちゃん覚えてないんだね」
「何を!?雲雀ちゃんずっと一緒だったじゃない?」
「本当の私、人間の雲雀は10年前のアイドルテロリストのゲリラライブに巻き込まれ死んだ。雲雀の両親は嘆き悲しんだ。雲雀の死んだ場所、秋葉原の中央通りに毎日通って泣いていたそうよ。その様子を見ていた秋葉原商工会の人たちがお金を出しあって私、アンドロイドの雲雀を作ってくれたの」
「そうだったの?」
私は愕然とした。10年前に雲雀は亡くなっていたなんて。
「それだけじゃない。雲雀が亡くなったとき、そばには松子ちゃんもいたんだよ。目の前で親友が亡くなったショックでその時の記憶がないらしいけど」
そんな…。私がその場にいたなんて。全然覚えてない。
「私は過去の雲雀を知らない。でも雲雀の両親は私を実の娘のように育ててくれた。商工会の人たちもすごく優しいし、何より松子ちゃん、松子ちゃんは私の初めてできた友達だよ!松子ちゃんは私だけの親友なの!それを誰だか知らないアンドロイドに取られるなんて許せない!私と松子ちゃんの仲を邪魔するやつなんて消えてしまえばいい!」
雲雀は一気にそう言うと晃穂をものすごい目付きで睨み付けた。




