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一話

鳴宮晃穂は、はたと目が覚めた。

「ここ、どこ?っていうか、私ダンプカーに轢かれて死んだはずでは?」

回りを見渡すが、一面、白い壁ばかりで窓もない。

晃穂は自分がベッドに寝ていることに気づいた。

服も制服から白いワンピースのような服に変わっていた。


と、突然部屋のドアがノックされた。

「は、はい!」と思わず返事をしてしまう晃穂。

ドアが開くと、そこには白衣を着た長身の女性が立っていた。

金髪の髪を後ろで無造作にひっつめているが、服の上からわかるぐらいの豊満な体をし、とても美しい女性だ。

眼鏡をかけ、知的な印象を受ける。


「あら、目が覚めましたか?よかった」

女性は少しもよかったとは言えない口調で言った。

カツカツとハイヒールを鳴らしながら、近づいてきた。

綺麗だけど、ちょっと怖そうな人だなと、晃穂は思った。


「どこか、痛みますか?具合が悪いところとかありますか?」

金髪の女性は心配してる風に聞いてきた。

事務的な口調で、少し投げやりな感じもある。



「いえ、どこも痛くないし、具合も悪くありません。っていうか、ここ、どこですか?病院ですか?」

晃穂は体に痛みも何もないことを怪訝に思いながら女性に問いただした。

「病院ではありません。どうか落ち着いて聞いてください」

女性は晃穂をじっと見つめながら衝撃的な一言を発した。


「言ってみれば、ここは死後の世界なんです。信じられないでしょうが」


晃穂は何も言えず、ベッドの上で驚くことしかできなかった。

数秒、沈黙が流れた。


「え?やっぱり私死んだのですか?交通事故で…」

「そうね。そういうことになるかしら」


晃穂の問いに女性は答えるが、なんとも歯切れが悪い返答だ。

そもそも、死後の世界って、こんな病室のような無機質なところなのだろうか?

自分が天国にいけるかわからないが、天国とも思えないし、ましてや、地獄とは言えないだろう。

地獄ならもっと過酷な環境のはずだ。

鬼とか閻魔大王とかも見当たらない。

まぁ、ああ言った存在は架空の存在かもしれないが。


もしかしたら、やはりここは病室で、この女性はたちの悪い冗談を言っているのかもしれない。

出で立ちは、白衣を着て医師のようだが、はたして医師がこんな悪質な冗談をいうだろうか?


別に体に異常はないが、なんとも、もやもやした気分がした。

もやもやというか、気分が悪いというか。


「気分が悪いの?ゆっくり休んでいなさい。まだ、時間はあるわ」

女性はこちらの心境を読んだかのように言った。

時間があるとは、どういうことだろうか?


「また、様子を見に来るわ。ちゃんと休んでいなさいよ」

そういうと、女性は踵を返し、部屋を出ていった。


疑問がたくさん残るが、言われた通り休むことにした…。









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