百十話
そのとき、ドアが乱暴に開いた。
「おう、呼ばれて来てやったのに迎えもないとはどういうことだよ!」
開かれたドアにはベリーショートの銀髪にサングラスの長身の女性が立っていた。
大層ご立腹なようだった。
「あら?マリアもう日本に着いたの?早かったわね…」
リリーとマリアと呼ばれた女性は知己の仲らしかった。
「!?しかしまた大層な絵面だな…」
私は椅子に縛られたままだった。
「紹介するわ。この子は新しく作ったアンドロイドの晃穂オルタナティブ。椅子に縛られた子は人質のマコちゃん」
人質として紹介されるなんてそうそうないと思う。人生なにがあるかわからない。
「マコ…、松子です。以後お見知りおきを」
私は紹介されたので一応、自己紹介をした。
「マコちゃんかよろしく!俺はアイドルテロリストのマリア・タチバナだ!でもアイドルじゃないからな、そこんとこよろしく!」
この人がアイドルテロリスト…。想像とは違って気さくな人っぽいが、キレたら怖そうな人だった。
「おう、マコちゃん、あんたどこかであった気がするが…。まぁいいか」
マリアがいきなり私の顔を覗き込んで言った。
「いきなりナンパはダメよ。マリア…!」
「ちげぇよ!そんなんじゃねぇよ!ただ結構昔にあったことあるような気がしただけだ」
リリーの勘違いに、照れて本気でキレるマリア。
「それより前に作ったアンドロイドはどうしたんだよ?あれも晃穂とか名前じゃなかったか?」
「前の晃穂は戦闘能力は申し分ないけど、私の言うこと何も聞かないので、デリートしようと思ってるの」
「あんだよ、前には私の作ったアンドロイドは我が子と一緒よ。とか言ってたのに、残酷な親だな」
マリアの問いに冷淡に答えるリリー。やはり晃穂はデリートされるのか。
「でも、晃穂は真撰組に入ってしまったわ。沖田…あなたには零号機と言った方がいいかもだけど。零号機が今所属してる組織よ。ここ秋葉原の自警団だけど零号機と晃穂がいるので侮れないわよ」
「!?零号いるのかよ!またあいつとやりあえるなんて夢のようだな。テンション上がって来たぜ!超法規的処置だかなんだか知らないが、10年外国でくすぶっててつまんなかったところだったんだ」
2人は沖田さんまで知ってるのか?2人の関係が私は気になり始めた。




