百話
翌日。
アイドルテロリストが成田空港に降り立ったニュースで持ちきりだった。
超法規的措置を取られたので、正確にはアイドルテロリストは犯罪者ではない。
アイドルテロリスト、マリア・タチバナは隠れることもなくマスコミがたむろした成田空港に降り立った。
銀髪のショートカットにサングラス。モデルのような長身。アイドル的な要素は何もない。
マスコミのカメラのフラッシュの閃光。矢継ぎ早に繰り返される質問。
それと、マリア・タチバナのファンだろうか?空港で出待ちしていた群衆がマリア・タチバナの名前を連呼している。
騒然としている空港だが、マリア・タチバナ自身は何処吹く風と、悠然と歩いていく。
「ふん、俗物どもが…」
マリア・タチバナの呟きは喧騒にかきけされた。
私、澤口松子は途方にくれた。
私の想い人、鳴宮晃穂が学校を休学してしまった。
想い人なんて言うと、恥ずかしいが 晃穂のことが好きだからしょうがない。
晃穂が真撰組に入ってしまった。
入るのは別に反対ではないが、何も学校を休学しなくてもいいじゃないか。
晃穂と会える時間が極端になくなった。
しかも、そんな大事なこと脳内メール一通で済ますなんてありえない。
寂しいよ、晃穂。会いたいよ、会いたいよ!
私、晃穂がいないとダメになっちゃうよ。
思いが次々溢れてくる。
晃穂がいない学校なんて行きたくない。
元々、私は引きこもり陰キャだから構わないだろう。
学校に行かないといけない時間だが、私は布団に潜り込んだ。
今となっては、晃穂が家に泊まりに来てくれた事が懐かしい。
布団に晃穂の残り香が残ってないか、顔を埋めてみた。
当たり前だが、晃穂の匂いはしない。
悲しくなり、私は泣いた。
泣いてるうちに、正午を回ったようだ。
お腹は空いているが、何も食べる気力はなかった。
ピンポーン!
玄関のチャイムがなった。
誰だろう?体がだるくて出る気はしない。
でも、晃穂かもしれない。私は思い直して玄関まで行った
玄関を開けると、そこには雲雀がいた。
「松子ちゃん、こんにちは。学校来ないから心配して来ちゃった…」
「まだお昼だよ。雲雀こそ学校どうしたの?」
「仮病使って早退して来ちゃった。あがっていいでしょ?お邪魔します」
雲雀は答えを聞かず、入り込んだ。




