9話
ログインしたし、早速町を見て回るか。
「キュ?」
どこ行くの? って感じで首を傾げてこっちを見てくる。
「シロはここで待っててくれ。」
「キュキュッ!」
今度は、私も行く! って感じだな。だいぶこいつの考えがわかるようになってきたな。
「ダメだ。留守番してろ。」
「キュ〜。」
そんな悲しげな顔して上目遣いになってもだめなものはだめだ。
「じゃあ、行ってくる。」
さて、今俺は雑貨屋に来ている。
なぜかっていうと、数人のNPCに「素材を売りに行くならどこがいいか」と「テイムモンスター用のアイテムはどこで手に入るか」を聞いたところ「どちらも雑貨屋だ」と言われたからだ。
「と、いうわけだ。」
「何が、『と、ういうわけだ』よ。ちゃんと説明して。」
なんだよ。ノリ悪いなここの店員は。
てか、
「なぜ、雑貨屋に買い物にきただけなのに説明しなくちゃならん。」
「そ、それは......こんな店よりギルドで取り引きしたほうが利益が多いからよ。」
え、そうなん? あんのおっさんども騙しやがったな。
「なんでそんなことを初めての客に言うんだ? 客が減っちまうぞ。」
「そんなの、お客さんに嘘を吐きたくないからよ! で、なんか買うの? 買わないならとっとと出て行って欲しいんだけど!」
おー、こわいこわいキレてらっしゃる。
よし、ここは空気を読まずにいくとするか。
「それじゃあ、これらの買い取りと、あとテイムモンスター用のアイテムを売ってくれ。」
俺は、オオカミたちの素材を店員の前に出しながら言う。
「え、......って何よコレ!」
「ん? あっちの森でとれる素材だが。」
「あんたみたいなヒョロいのがあの森の魔物を倒せるわけないじゃない。ひょっとして、あなた最近現れたっていう来訪者ってやつ?」
来訪者? なんだそれ。プレイヤーのことか?
「たぶんな。」
「『たぶんなって』、まあいいわ。買い取ってあげるわよ。」
「おう。で、いくらだ?」
「ッ!!無茶言わないでよ。そんな早くわかるわけないでしょ! 店の商品でも見て待ってなさいっ!!」
急かしたらすげえ形相で怒鳴られた。このゲームではアイテム売却に時間がかかるようだ。仕方ないので言われた通りに店内を見て回るか。