6話 暗闇の哀情
寒い……。
寒さで手足が固まって、うまく動かない。
感覚はずっと前になくなってる。
体を丸めて、ただ耐えていた。
……それでも凍死しないだけ、まだマシなのかもしれない。
なにせ外の世界は、雪が吹雪く極寒だ。
この厚手の襤褸を一枚巻いただけのような恰好では、一刻もつかどうかだろう。
だから、いまはこうするしかないよね……。
きつく、自分の体を抱きしめる。
手と足にはめられた無骨な鉄の輪が、二の腕や太ももに当たって冷たさを伝える。
しかしその冷たさに、もう心臓が跳ねることすらなくなっていた。
建付けの悪いドアの隙間から、光が小さくもれている。
ここには、それ以外に明かりというものはなかった。
その光をぼんやりと反射する手首の黒い輪と、そこから伸びる鎖。
暗い視界にあったのは、それだけだった。
唐突に、部屋の扉が開いた。
「もう補充の時間か……。まったく面倒な、あと二人ほど魔術師を雇えばいいものを……」
濃い緑色のローブを着た人間が、ブツクサと呟きながら前を通り過ぎていく。
その手にはランプを下げていた。
ランプの光に照らされた部屋の中は、まるで牢獄だった。
いや事実、そのままだ。
部屋は上下左右に鉄の棒が突き立っている。
それによって部屋は分けられていた。
手と足から伸びる鎖は目の前の鉄の棒の一つに雁字搦めに巻き付いていた。
そして、この部屋には同じような状態の人がいっぱいいる。
我がごとながら、これはひどいよね……。
でも誰も、部屋を横切る人間に反応することはない。
そんなことをしても、いろいろな意味でひどい結果にしかならないことが今までのことから誰もが身に染みていた。
ローブを着た人間は、入ってきた扉と反対側の扉を開く。
そちらの扉も建付けが悪いのか、ぎいぃっと大きな音を立てる。
そして扉は閉まり、また暗闇があたりを支配した。
ローブの人間が消えた扉から、子供のような高い声が聞こえた。
それは、泣き声のようだった。
あの奥に、小さな子がいるのかな……
泣いて、いるのかな……。
ごめん……ごめんね……。
ウチは、なにもできない……。
ごめんね…………。
つよく、つよく肩を握る。
もう枯れたと思っていた涙が、目からこぼれた。
……お父ちゃん……お母ちゃん。
――だれか……。
――だれかっ……!
――ウチたちを……
――ウチたちを、たすけてよ……!
虚ろな暗闇は、希望も絶望も等しく飲み込んでいく。
だれ? いやほんと、わからない
だって、名前が(ry
そんな拙作を、これからもよろしくお願いします。




