未来からやってきた武道型ロボット
小学4年生のノブ太は、勉強が出来ず運動神経も永遠のゼロ、さらには覗きや下着ドロで数回補導された経験があるという典型的な落ちこぼれだ。そんな彼を救うために、未来の世界から武道型ロボットがやってきた。
人型ロボットのセガールえもん。黒髪をポニーテールに結んだそのロボットから繰り出される合気術は、どんな要求や厄介事をも流麗な手さばきで解決してくれるのだ。
ある日、学校から帰ってきたノブ太が、彼の部屋で懸垂に励むセガールえもんに泣きついた。
「セガールえも~ん! アイアンにイジメられた! 僕の仇を取ってよ!」
アイアンという人物は、ノブ太と同じクラスのガキ大将である。彼は、友人であるスニオが金持ちのボンボンであることを最大限利用して、その資金で海外から武器弾薬を大量に密輸。それらを地元の暴力団にばらまくことで、闇の勢力を背景とした地元支配を確立していた。
「分かった」
険しい顔でそう応じると、セガールえもんは部屋を出て一人、アイアンのもとへと向かった。
空き地にて、拳銃の試し打ちに興じるアイアンとスニオ。
「最新式のコルトパイソンだ。これで撃ったらノブ太の奴、木っ端微塵だろうな」
「今度試してみようよ」
空き地の土管に向かって二人がバンバカ銃弾を撃ちこんでいる時、背後から奴は現れた。
「お前がアイアンだな。ノブ太がずいぶんと世話になったそうじゃないか」
セガールえもんがうっすらと笑みを浮かべながらアイアンの方へと近づいていく。アイアンが彼の方を振り返ると、拳銃をチラつかせて凄む。
「ノブ太がどうしたって? あいつは俺のサンドバッグだ。俺がどうしようがお前には関係ないだろ」
拳銃の威嚇にも動じず、セガールえもんは涼しい表情でなおもアイアンに歩み寄る。全く動揺を見せない彼に、アイアンは怖気づいてセガールえもんの顔に銃口を向ける。
「こ、これ以上近づいてみろ。ノブ太より先に、お前がこのコルトの餌食になるぞ!」
すかさずセガールえもんがアイアンの手首を掴んで極める。アイアンの腕が曲がっちゃいけない方向へと折れ曲がり、その激痛によって放たれた彼の美声が町中に響き渡った。
「アイアン!? 許さないぞ!」
その惨劇を横で見ていたスニオが、持っていた拳銃をセガールえもんに向け、引き金を引いた。しかしセガールえもんがアイアンを盾に掲げたことで、スニオが放った銃弾は無情にもアイアンの頭部を吹き飛ばした。
「うわああ!」
スニオが悲鳴を上げるも、すぐにその声は掻き消える。すでにセガールえもんがスニオの首を掴んで180度回転させていたのだ。
「相手を間違えたな。俺に銃は通用しない」
そう言い残すと、二人の死体と夕日を背にしてセガールえもんが空き地から立ち去っていく。
こうして、町を支配していた二人はセガールえもんの手によってあの世へと旅立った。
どんな無理難題も(暴力で)解決してくれるセガールえもん。彼の通った道には屍しか残らない。
よくよく考えたらロボット要素皆無ですね(筋トレしてるし)、ごめんなさい。
僕も葬られてきます。