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検査

「はい、じっとしていてね」

 彼の十倍以上はあるような異星生物が、彼に話しかける。まるで、子供を相手にするような言葉遣いだ。

 翻訳装置の不具合だろうかと一瞬疑うも、自身が子供の姿に縮んでしまったからだと彼は考え直した。

 このように全然違う生物の言葉さえもわかってしまうことに、彼は改めて感心した。

 この星の生物も、さすがに検査も何もなしで捕えておくなどということはしないらしい。

 彼は体を触られるたび、異星生物にうっかり殺されてしまったりしないか、びくびくする。

 なにより質量が全く違う生き物だ。出会った瞬間かなわないと思った。

 白い体の異星生物が原始的に針を体に刺し、血を抜かれる。

 何やらわからない機器で全身を調べられる。

 彼を初めに捕えた個体が心配そうな表情で見ていた。

(痛いのは俺だってのに)

 あちこち身体を触られて、それで終わったようだった。

 余裕が出てきて彼が周囲を見渡すと、彼の同胞と似た生物が檻に閉じ込められていた。

(なるほど、あれに似ているからここに連れてこられたのだろう)

 似ているそれがこの星の生き物かどうかはわからない。しかし、覗き見たところ、それらと異星生物は対立しているわけではないようだ。

 抱かれておとなしくしているものが多い。

 諦めの境地かそれとも……

「病院嫌ーい」

「だけど、こうしないと暮らせないしね」

「でも、アレまで取られるとかありえない」

「ぞっとするよね、まあ、仕方ないけど」

……嫌な予感が彼を包んだ。

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