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エピローグ

 職場であるホームセンターにいたササキは空を見上げて口をあんぐりとあけた。

 家電売り場のテレビはアナウンサーが奇声まじりに生中継をしている。

 しかし、その画面は一瞬の砂嵐の後、ジャックされた。

「やあ、ニホンの皆さん」

 豪華な蝶ネクタイのようなものを付けた、灰色のいきものが若干訛りながら朗らかに挨拶をした。

「僕たちは宇宙人、いや、君たち基準では宇宙猫ということになるのかなあ。なかなか住み心地がいいらしいと、聞いたので来ちゃいました」

 宇宙猫の代表は、ぺこりと頭を下げた。

「なるべく迷惑をかけないようにするので仲良くしてくださいネ? いや、君たちはちょっとした意地悪なら、された方が嬉しいノかなあ? まあ、よろしくお願いします」

 自称宇宙猫の代表は驚くほどフレンドリーだった。

「二ホンの皆さん、僕たちは資源不足の星からやってきました。資源を奪いに来たわけではないのです。それに腕力や兵力は明らかに劣っているから勝てる気がしません。こちらに間借りというか、共生出来たらと思っています。仲良くしてくださいませんか?」

 ホームセンターの店内からは女性の「か、可愛すぎる」という黄色い声や「あの猫ちゃんなんで喋ってるの」という子供の声、「な、なに? 特撮? ええ!?」という大人の声が聞こえてくる。

 ササキは汗でだくだくになり、震える手で携帯を手に取った。そして、自然な動作でヨーコにかける。研究所など他にかける必要のある場所はいくらでもあるというのに。

「ただいま、お繋ぎできせ……」

「くそっ」


 ササキは走った。

 ヨーコのアパートまで走った。

 チャイムを鳴らすとヨーコはきょとんとした顔でササキを見た。

「ササキ君?」

「あ、あれ、見ただろ」

「う、うん。それが?」

 ヨーコは空をちらりと見た。

「それが? じゃない、そいつ!」

 ササキはファラオを指さした。

 ヨーコは首を傾げる。

「ファラオがどうかしたの?」

「宇宙猫!」

「そんなわけないわよ」

 ヨーコはびっくりしながらファラオを抱えた。

「こら、そういうことをするんじゃない」

 ササキは声を荒げる。

「え? だってファラオは猫だし」

「そいつオスじゃないか」

 ササキは顔を真っ赤にした。

「そんな考えすぎだよ」

「そうそう。俺は人間の女なんかに興味はないから」

「え?」

「あっ」

 二人の視線はファラオに釘付けになった。

 そして目を見合わせて、二人とも夕日のように真っ赤になった。


<おわり>

SF=スフィンクス(猫種名)のファラオ(猫の名前)

もしくはSF=スペース・ファンタジー

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