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偽装

 ササキが去ってから、彼は猫を演じた。確かにヨーコがいない間にパソコンなどから得た通りの、優雅で甘えん坊で時折自分勝手な猫になった。

 そしてヨーコが家にいない時、故郷と連絡をとり、ササキが言ったことが事実だと知った、

 どうやら子供になってしまったのは超光速跳躍が原因らしい。他の仲間はササキの属している組織に保護されているものや、彼のように一般人が猫として飼っているパターンが多いようだ。

『できれば迎えに来て欲しいのですが、食糧も十分与えられ、住環境もそれほど悪くはない』

 彼はそのような報告をした。通信士は、すでによく心得ているようで、『助けは期待しないでほしい。しかし、放っておくつもりはない』と事務的なトーンで伝えた。


「本当にきみはいつの間にか我が家のファラオになったよね」

 ある時ヨーコがぼそり口走った。

 ヨーコの部屋はとても居心地がよい。

 あとは女の子がいれば、最高なのに、とつい贅沢を望んでしまいそうだ。その思考に至った時、彼は検査を受けたところで聞いた不穏な話を思い出して身震いをした。

「まあ、私は優秀な臣下ですから、食べすぎとかは許しませんけどね」

「えー? えほん、にゃうあう」

 最近ヨーコはよく彼に話しかける。

 ごくごくたまにうっかり返事をしそうになってしまって彼は慌てることもしばしだ。

 そんな日常はその日の昼、崩れた。


 突然大きな音楽が流れ、部屋に入る光量がぐんと減った。

「曇ってきたのかな? でもこの音楽は」

 ヨーコはレースのカーテンを開け、外を見回す。

 そして、そのままの格好で動かなくなった。

「な、なななな、なにあれ!」

 彼はとん、とんっとテーブルを足掛かりに窓辺へ移る。

(この音楽は……)

 期待に胸を膨らませて彼は窓の向こうをじっと見た。

 大きな戦艦のような宇宙艦。

 まさに彼の星の母艦だった。

 


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