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メール

『この間、ポスターみたって人から連絡があったんだけど、なんか変な人でさ。信用できなくってちょっとカマかけたら、逃げてったんだ。警察にも届けたし、もう、ポスターはいらないかも』

 ササキはヨーコからのメールを見てため息をついた。

 失敗の件はすでに研究所の方から伝わっていた。ヨーコは想像以上に鋭かったらしい。

 どうにか宇宙生物に接触する必要があるな、とササキは頭を掻いた。

(どうすれば……)

 思った以上にヨーコは宇宙生物を気に入っている。気の毒には思うけれど。

 しかし、一般人であるヨーコに真実を打ち明けるわけには行かなかった。

 よほどのペナルティを課したとしても人の口には戸が立てられない。まして、ヨーコは男性よりも感情の共有欲の高い女性だ。

 しかも、昔とは違い今や情報共有ツールは驚くほど増えている。口から口へ伝わる以外にも、インターネットやSNSなんていうものも普及している。掲示板程度ならソースの曖昧さに見過ごされることもあるだろうが、知り合いの知り合いの……なんていう妙に信憑性を帯びた関係に知られると厄介なのである。

 また、宇宙生物が何もしないとも限らないのである。


「うーん」

 ササキが頭を抱えて、状況を整理する。

 一応ポスターの撤去を持ちかけるくらいにヨーコとは親しいという、ことにはなっているだろう。ファラオを見に行くくらいは出来ないものだろうか。

 本当のことを言えばヨーコのことは心の中から心配だった。

 一応研究は進んできているものの、まだまだ未知の部分の多い生き物。それを知識もなく育て続ける、あんな少し抜けたところのある女性に……

 ササキはハッとした。

(そうだ、トラウラは女性だ……。しかも、知能のある宇宙生物はオスらしい……いや、全然違う生き物だからたぶん大丈夫だろうけど、でも、あいつ抜けてるし、ちょっと変なところあるし……)

 気づくとササキは無意識にヨーコへの返信メールを作成しようとしていた。

 しかし最初の一文を作成するところから悩みに悩み、打っては消してを繰り返している。

「くそう、一体なんて書けばいいんだ」

 ササキの作業は小一時間に及んだ。

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