◆
「便利屋の依頼、順調に来てるの?良かったじゃん!」
「ああ。こんなに上手くいくとは思わなかった。永音、お前のおかげだ。感謝している」
「いや、俺は何も……。ディアの住む場所を手配したのも末森さんだし」
ディアは俺のことを良く思ってないはずだ。それなのにそんなことを言われたので、やっぱり少し動揺してしまう。
「私は、言魂使いが好きではなかった」
「うん……」
知ってるよ。
「でも、お前に出会い、こうして日本に住むようになってからは、そういった言魂使いへの先入観も薄くなってきた。
この土地の人々は何の能力も持たないのに、日々、精一杯生きているな。
己の能力を振りかざして我々下々の者をゴミのように扱う連中なら数多く見てきたが、お前のように、言魂の力について深く考える者を見たのは初めてだ。
それに、私はお前の親友を拐おうとしたのに、それを責めず、お前は私を日本に誘ってくれた。
おかげで、絶望せずに済んだ。この世界だけでなく、言魂使いに対しても……」
ソファーから立ち上がり、ディアは言った。
「お前がそうしてくれたように、何かあれば、私も永音の力になる。それだけ、覚えておいてほしい。
最初、色々とひどい事を言って、本当にすまなかった」
ディア、そんな風に思っててくれたんだな。
ふつふつと喜びが込み上げてくる。
「もうひとつ伝えたいことがある」
背を向けたまま、ディアは肩越しにこっちを振り返った。
「オラルメンテ認定協会のことだ。私はこれを使って、協会の何者かと仕事情報のやり取りや業務完了の報告をしていた」
ディアはパンツのポケットに手を入れ、手のひらサイズのプラスチック製カードを取り出した。一見、クレジットカードみたいだ。




