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タマがあの店に異変を感じたのは、夏休み初日。俺の力でディアを呼び出した時のことだったらしい。
「それまでは、人気のない静かな店としか思わなかったなりが。あの日は何かが違っていたなりよ」
「そういえば、タマはずっと眠りっぱなしだったっけ。それも、その時感じた異変のせい、とか?」
「あそこまで強い眠気を感じたのは初めてなり。それに、ただの眠気なら、もっと早く目を覚ましているはず……」
「もしかしたら、俺達が店に行く前日の夜に、瑞希ちゃんが薬の調合か何かをしてて、その成分が空気中に漂ってた、とかじゃないか?」
瑞希ちゃん言ってたもんな。失敗した薬の煙や残った匂いを嗅ぐと、幻覚や眠気に襲われることがあるって。
「たしかに、瑞希氏の作った薬には、そういう副作用がありそうなりね」
げんなりした後、タマはシャキッと目をつり上げる。
「単にそれだけならいいなりが、他にも気になることがあるなり。
瑞希氏の作った薬を保管していたビン……。ミーが割ったから良かったものの、あれからはとてつもなく嫌なものを感じたなり」
そういえばあの時、タマは突然、鋭い動きでビンに体当たりしていたっけ。
「あのビン、やっぱりわざと割ったんだ。
嫌な予感って……。瑞希ちゃんがあのビンの中に毒薬でも入れてたって言う気か?」




