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案の定というべきか、末森さんはディアに、住む場所を貸すと言った。
「好意は大変嬉しいですが、さすがにそこまで世話になるわけには……」
ディアは遠慮していたが、末森さんは気にするなと言う。なんでも、末森さんは、副収入目当てでアパートの管理人もやっているらしく、そこの空き部屋をディアに使うよう勧めた。
「末森さんは、このお店以外にも土地を持ってみえるのですね……!」
瑞希ちゃんも目を丸くしている。彼女も、末森さんが大家業をしていることを知らなかったようだ。
「ディア君。最初は何かと大変だろうが、頑張ってくれ。便利屋として仕事が軌道にのるまで、家賃もいらんから」
まさに、至れり尽くせり。ディアは、今まで何もかもひとりで考えて自分の力でやってきたみたいだから、他人の手を借りるのは抵抗があるみたいだけど、
「ありがとうございます。好意を無駄にしないよう、精一杯やります」
と、末森さんに感謝していた。
「そうそう。永音君にもひとつ提案があるんじゃが……」
末森さんに話しかけられた。俺に提案って何だろう?
「この店には、普通の生活を外れてしまった人達がやってくる。というのも、ワシが勝手に、そういう人を連れてきてしまうからなんじゃが。彼らを見ていると、やはり放っておけなくてのぅ」
俺に声をかけてくれたのは、瑞希ちゃんの占いで俺の出現を予知したからってだけじゃなく、引きこもりオーラを察したからなのか?と、この時思った。
「一般的な日常を離れて暮らす彼らの悩み、事情は、様々じゃ。
言魂使いの君に、彼らを――悩み、苦しむ人々を助けてもらいたいと、ワシは思っとる。
人を癒す力がある。先日君は、瑞希ちゃんにそう言われたそうじゃね」
「はい、言われました。占いで」
占いの結果と『人を助けること』に、何のつながりがあるんだろう?




