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「わかった。まだ、多少の心配要素はあるが、私も日本に来ることにしよう。よろしく頼む」
ディアは、前向きな答えを出してくれた。
その後、すっかり冷めてしまったハンバーグを食べた瑞希ちゃんと俺。なのに心はあたたかくて、清々しい気分に満ちていた。
ディアのことはあまりよく知らないし、出会い方は最悪だったけど、これからは上手くやっていける気がする。
だって、心底悪いことを考えてる奴には見えないから。俺達の話に、耳を傾けてくれたから。
「そうと決まれば、さっそくディアさんが住む場所を見つけましょう」
瑞希ちゃんがテーブルに地図を広げた時、店主の末森さんが扉を開けた。
「おお、新しいお客さんかい?今日は賑やかじゃのう」
「末森さん、お帰りなさい。ずいぶん早いお帰りでしたね。今日は夜まで戻らないとおっしゃっていたのに」
言いながら、瑞希ちゃんは末森さんのコーヒーを用意する。
今日もサングラスに黒マントの末森さんは、他にも空いた席があるのになぜか俺の隣のイスにどかっと座り込んだ。よほど疲れているのか、末森さんは肩で息をしている。
淹れたてコーヒーを持って、瑞希ちゃんが戻ってきた。それをテーブルに置くと、彼女はファミレスのウェイトレスみたいな手つきでディアを示し、末森さんに紹介をした。
「こちらの方は私の幼なじみで、ディア=ラルさんといいます」
「そうかそうか、瑞希ちゃんの幼なじみかい……」
末森さんはサングラスの奥の目を柔らかく細め、
「ということは、フォントオーディスの方かの?」
「瑞希!」
ディアはギョッとした顔で瑞希ちゃんを見て、
「この言魂使い以外の人間に自分の正体を明かしたのか!?」




