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「協会の裏切り者を見つけるのは至極当然なり。これを機にオラルメンテ認定協会なんて無くなってしまえばいいと、ミーは思うなりが」
タマが冷ややかに言う。
「オラルメンテ認定協会なんて、無くても充分なりよ。存在する意味が分からないなり。昔はそんな組織が無くても言魂使いの口にした願いは叶っていたし、今もそうなり」
「でも」
俺はタマにストップをかける。
「協会に雇われた優秀な魔法使いが、言魂使いの発した言葉を実現させる手伝いをしてるんだろ?」
「そんな手伝い、いらないなりよ。手伝うといっても、協会所属の魔法使いが手を加えることで言魂使いの願いが叶う時期を少しばかり早めることしかできないなり。
つまり、永音氏の言葉は、魔法使いごときが手伝わなくても願望を叶える強力な力を持ってる、ということなりよ。
低レベルの言魂使いならともかく、ミーの見たところ、永音氏はレベルの高い言魂使い」
「何で、レベルとか分かるんだ?」
「響君を消したいと願った後も、永音氏は命を落とさなかった。それが、なによりの証拠なり。君が高レベルの言魂使いであるという、ね。
前にも話したけど、人一人を消し去るような言葉を低レベルの言魂使いが発したら、自分の命まで無くしてしまう。しかし君は、頭痛を感じる程度で済んでいたはずなりよ」
「そうだな、たしかに、そうだった……」
背筋がぞわりとした。
それが本当なら、俺は、
「軽はずみに悪いこと言わないようにしないとな……。
とにかく、まず、瑞希ちゃん達の国で創設されたオラルメンテ認定協会。そこにいる裏切り者を突き止めなきゃいけないな」
ディアの事情も気になるけれど……。
「タマがそうしたいなら、俺も協力する!」
今まで、タマには助けてもらってばかりだったもんな。
ディアの仕事事情には共感するけど、それとこれは別問題だと考えないといけないよな。
裏切り者なんて、いない方がいいに決まってる。
言魂使いとして、俺は、皆の役に立ちたい!
「永音氏……!ようやく、ようやく!やる気になってくれたなりねっ」
「よし!そうとなれば、ディアを呼び出してみよう!俺がそう願えばいいんだよな?」
「そうなり!それでこそ、まさに、本来の言魂使いなりよ~!」
タマは、ポケットからスマホを引き抜いてしまうほど高く飛びはね、俺の肩に乗るとクルクル回って踊り出した。
言魂使いを導く者として、俺を導けたことがよっぽど嬉しいんだな。
「あの……!永音さん!」
瑞希ちゃんが、前屈みになって自分の胸に手を当てる。
「お願いがあるのです。ディアさんがこちらにやって来た時には、どうか……」
そこに続く瑞希ちゃんの言葉は、言われなくても分かる。
「大丈夫だよ、瑞希ちゃん。もう悪い方法で稼がないように、ディアを説得してみる」




