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「ディアさん、そこまでです!」
瑞希ちゃんの声……?
「今すぐ永音さんを解放して下さい」
視界が一瞬暗くなる。
うっすら開けた目に映ったのは、瑞希ちゃん着用の黒いワンピースが風にたなびく光景だった。
どこから来てくれたんだろう。空からやってきて俺の目の前に着地する彼女の両足が見えたような気がするけど、意識が朦朧としてたから自信ないや。
ホウキとか無くても飛べる魔法使いなのかな、瑞希ちゃんは。
「瑞希氏、もしかしてミー達を助けに来てくれたなりか?」
「はい。さきほど水晶を通じて永音さんとコンタクトを取っていたところ、不穏を示す波動を感知したのです。まさかと思って来てみれば……。間に合って良かった……。もう大丈夫ですよ」
瑞希ちゃんはこっちを振り返り凛々(りり)しい笑みを見せた後、男に向けて風を放った。多分、魔法。
彼女が相手に片手をかざすと、男の体は後退する。
青装束の黒髪イケメンが放つ風が冷たかったのに対し、瑞希ちゃんの風は温かかった。おかげで、低下しつつあった俺の体温は平熱を取り戻し、俺は立ち上がることができた。
あんなに強引だったのに、瑞希ちゃんが現れてから、男は攻撃をやめて響を地面に横たわらせた。彼女には太刀打ちできないと判断したのだろうか。
「響、大丈夫か!?」
寝そべる響を抱き抱えようとした俺に、青装束の黒髪はそっけなく言った。
「死にはしない。気を失っているだけだ。魔法使いが相手では分が悪い。撤退する」
何事もなかったかのように飛びたとうとしている男を、瑞希ちゃんが引き留めた。
「ディアさん、待って下さい!」
二人は知り合いなのか?
「今も、フォントオーディスにみえるのですね……。まだ、あのお仕事を続けていらっしゃるのですか?」
「君には関係のないことだ」




