◆
吹き出し型をした桃色の体で胸を張り、タマは言った。
「ミーと会話できるのは貴重なことなりよ。普通の人は、めったに見ることのできない存在だからね」
「そっか。なんか、ここ二日間のうちに不思議な体験ばかりしてるな、俺」
おかしなほど、胸が弾んでくる。末森さんに話しかけられたり、修行中の魔法使いと友達になれたり、こうしてタマと会話しちゃってること。
「嬉しそうな顔をするのはかまわないかりが、喜ぶのはまだ早いなりよ」
タマが、柔らかい口ぶりで言う。
「瑞希氏の言ってたこと、ミーも当たってると思うなり。永音氏には人を癒す才能があるって、占いで言われてたなりね」
「うん。そうだったね」
誉められて悪い気はしない。だからといって、どうすればいいのか、俺には分からなかった。
「『自分を知ることで解決策が見つかる』って、タマと瑞希ちゃんは言ってたけど……。
引きこもり卒業して、その後は、響に対して発動してしまったかもしれない言魂の力を無効化する。口で言うのは簡単だけど、そんなスムーズにいくかなぁ?」
自信なさげな俺に、タマはお決まりのセリフをやんわりと投げた。
「君は言魂使い。口にした願いを実現する力を持った特殊な人間なりよ。人を癒す力もある、ね」
「人を癒す……。そんなこと、考えたことなかったなぁ……」
他人のことを考える余裕なんてなかったし、むしろ、今までの俺は自分の痛みから目を背けることで頭がいっぱいだった。
コホンと咳払いし、タマは真っ直ぐこっちを見た。
「難しく考えないで、シンプルにシンプルに、なりよ。今まで君は、独りで生きてきたなりか?」
「え……」
「違うはずなり。つらい時や困った時、嬉しい時や楽しい時、そこには、自分以外の存在がそばにあったんじゃないなりか?」




