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瑞希ちゃんは、沖縄の海みたいにキラキラ瞳を輝かせ、
「嬉しいです!永音さんにそう言ってもらえるなんて!」
と、抱きついてきた……!
「ちょっ、瑞希ちゃん!」
これは、夢なのか!?
ギャルゲーの中でなら数え切れないほど経験した甘いワンシーン。だけど、リアル女子に抱きつかれるなんて初めてで、俺は改めて現実の生々しさを知った。心臓だけでなく、五臓六腑が口から飛び出しそうになる。
「そこまで、言魂使いを尊敬してるんだね!?瑞希ちゃんはっ」
カチコチになりながらも、裏返った声で俺は対応した。
「はい!言魂使いは、私達魔法使いにとって神様のような方なのです!彼らのおかげで、私達は現代、魔法使いとしてプライドを持ちながら生きていられるのですから!」
「でも俺は、瑞希ちゃんの先祖達を助けた言魂使い本人じゃないよっ?」
「いいえ!永音さんとの出会いは、何らかの意味があるはずなのです。間違いありません、きっと!」
しばらくそうして抱きついたまま、瑞希ちゃんは俺から離れてくれなかった。女の子って、想像以上に柔らかくて優しい匂いがするんだなぁ……。じゃないだろ!!変態か俺はっ!
慣れないことをされて恥ずかしさマックスだけど、嫌じゃないから、ま、いっか。
しばらくして瑞希ちゃんはようやく離れてくれたけど、そのあと数分間、俺の心臓はずっと忙しかった。また、意外にも名残惜しそうに俺から離れる瑞希ちゃんのしおらしい顔が可愛くて、それも、激しい鼓動を長引かせる最大の理由になった。
その後、昼食にと瑞希ちゃんが作ってくれた和風キノコパスタを食べながら聞いた話である。
「日本に来たばかりで右も左も分からなかった私に、声をかけて下さったのが末森さんでした。この店の二階に空き部屋があるから、そこに住んでも良いと言ってもらえて」
「それで、占いの仕事をすることに?」
「はい。なにせ、水晶玉ひとつしか持たずに故郷の家を出てきたものですから、他にやれることがなかったのです。魔法薬の調合に必要なビーカーなどは末森さんが貸して下さいましたので、客足の途切れた暇な時間に調合の腕を磨けますし、材料やレシピは水晶の中に収めてあるので」
大切なペットの背中を撫でるかのように、瑞希ちゃんはテーブルの水晶に触れた。




