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瑞希さんは、力強い瞳でこっちを見る。
「先が見えないという不安はありましたが、でも、地球へ来て本当に良かったと思っています。
永音さんに出会うことができました。言魂使いのあなたに……!」
「そうか……。最初に俺のことを見つけ出し、末森さんに教えたのは瑞希さんだったね。普通の人間と言魂使いを見分けられるなんて、すごいなぁ」
やっぱりただ者じゃないな、瑞希さんは。改めてそう思う。
「魔法使い、言魂使い、魔術師。人の姿をしながらも人とは違う能力を持つ方は、私の世界に大勢いました。彼らには人間にはない独特のオーラがあり、私にはそれを感じ取れる能力があります」
「そっか。瑞希さんの世界には色んな人がいるんだね」
ちょっと、面白そう。俺の知らないところにそんな世界があるなんて想像できないし、今までも全く考えたことなかったや。
瑞希さんは耳に髪をかけ、
「言魂使いは、私にとって憧れ……いえ、私の先代の魔法使いにとって忘れることのできない憧れの存在でした。遠い昔、言魂使いはその力で魔法使いを統括し、私達の国を繁栄に導いたと伝えられています。しかし、どういうわけか、言魂使いはいつの頃からか姿を消し、私達魔法使いの前に現れなくなったそうです」
「言魂使いは、良いことをしてたんだね」
タマから聞いた話とだいぶ違うな。言魂使いは、言葉を自在に操れる。それをいいことに悪さばかりしてきたんじゃなかったのか?瑞希さんのご先祖様達は、言魂使いと協力し合う良好な関係を築いてたんだな。
「魔法使いとして、能力を高めるため修行中の身。そんな私が贅沢で身の程知らずな相談をしてしまっているということは、よく分かっています。……私は、自分が思う以上に欲深く未熟な魔法使いのようです」
「そんな……。瑞希さんはすごいよ。俺だったら、そんな修行すぐに投げ出すだろうし、もし魔法使いとして生まれてたとしても、瑞希さんみたいに自分を高めようだなんて考えなかったと思う」
自分のことをとことん悪く言う健気な魔法使いに対し、かける言葉は他に見つからなかった。
瑞希さんは目力全部をフル稼働させ、
「それが永音さんの心からのお言葉でしたら、私とお友達になっていただけませんか?お願いします……!」
地面スレスレまで頭を下げる彼女。初対面時のミステリアスな雰囲気からは想像つかない一生懸命さ。
なんだか、くすぐったい気分。俺なんかと友達になるためにそこまでしてくれるなんて。最近、ここまで誰かに必要とされたことがあったかな?ちょっと、泣ける。
「わかったよ、わかった!」
涙腺をきつく絞る(!?)べく、俺はやや強く言葉を発した。
「俺も友達になりたいよ!だから、顔あげてっ、瑞希ちゃん!」
言った!言ってしまった!
ついに、ちゃん付けで呼んでしまった!呼び捨てにする以上に恥ずかしいぞ!
顔が熱くなる。もう、引き返せない……!




