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「そんなに悪い結果ではありませんよ。気を楽にして下さい」
瑞希さんは小さく笑う。
「永音さんは、生まれながらに人を癒す力を持っている。そう、判断できました」
「人を癒す、力?」
アニメやギャルゲーで心を癒してる、の、間違いじゃないか?
思いもよらぬ結果に、俺は自分の耳を疑った。
「信じられないな。あ!いや、あのっ。瑞希さんの占いは信じてるんだよ。でも、自分で自分をそういう風に見たことがなかったから、それでっ」
忙しい中わざわざ占ってくれた彼女に対して、嫌なこと言っちゃったな。
しどろもどろな俺に、瑞希さんはクスリと笑ってみせる。
「結果を聞いた人は、皆さんそういった反応をされますよ。永音さんは何もおかしくありません」
「でも、ごめんなさい。せっかく占ってくれたのに疑うようなことを言って……」
「そのようなことを気にしていたら、占い師などやっていられません」
瑞希さんは腕まくりをするフリをし、片手でガッツポーズをする。
「それに私、占いの能力に関してだけは自信を持っていますから」
初めて見せる、生き生きした表情。黒いワンピースとは真逆に、彼女の口から見える歯は真っ白でキラキラしていた。
「私は、占いを得意とする魔法使いの家系に生まれました。そのおかげで、未熟な調合しかできない身でも、こうして占いで食べていられます」
雑貨屋業はともかく、占い目的でこの店を訪れるお客さんは多いらしい。魔法使いのことはよく分からないけど、お客さんが来るのは彼女の才能のなせるわざだな。感心する。




