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思わず見入る。水晶の中に、LEDライトでも入ってるのか!?いや、そんな人工的な光じゃない。湖の水面に映る月の光みたいに神秘的であたたかみのある感じがした。吸い込まれそうになる。
水晶は光を放つだけでなく風まで吹かせる機能があるのか、瑞希さんの短い髪はフワリと宙を漂った。
「永音さんの心を、我に教えたまえ」
瑞希さんがつぶやく。俺は息をのんだ。さっきまでの彼女と全く違う。雰囲気からして魔女だ(本物の魔女なんて見たことないけどさ)。
黒いワンピースの影響もあり、彼女が魔法使いであることが証明された瞬間だった。
瑞希さんの髪を、水中で漂う水草のように揺らす風。チリひとつの混入も許さなさそうな緊迫した空気。
「うう、ん……」
瑞希さんが小さくうめく。
今までは、占い師に良いイメージがなかった。占い師イコール当てずっぽうでいい加減な判断を下すペテン師集団の通称だとバカにもしてた。
でも、瑞希さんを見てると、メディアによって植え付けられた占い師への先入観はスッと消えた。彼女が魔法使いだと自己紹介してくれたことも本気で信じ始めている。
瑞希さんは、初対面の俺なんかのために、こんなに一生懸命占いをしてくれてる。変なイメージや偏見で彼女の行為を悪い風に決め付けるのはダメだと思った。
占いの結果が出たのは、それから五分後。
「水晶が、永音さんの性格を教えてくれました」
まっすぐこっちを見る瑞希さん。全てを見透かしてきそうな深いまなざし。恥ずかしくて視線を逸らすと、幼い彼女の頬が目に入り、俺はドキドキしてしまう。気を紛らわせるべく、ポケットからはみ出たタマをギュッと握りしめた。
「んぎゃっ!」
小さく漏れたタマの声を咳払いでごまかし、
「どんな結果だったの?あまり、いい内容じゃないと思うけど……」
俺はソワソワ落ち着かない気分になった。
インチキ占いの結果なら気楽に聞いてすぐに忘れられるけど、瑞希さんの占いは別だ。信頼度が高いだけに、彼女の口から次の発言を聞くのがこわい。




