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「占い、ですか?」
興味がある口ぶりをしつつ、本当はどっちでもいいと思った。
占いなんてしょせん曖昧な表現をかますデタラメ発言のオンパレードでしかない。そんなうわべだけの形式をたどってこっちのことを何もかも分かった風にもっともらしい判断を下される……なんて、想像しただけでウンザリだ。正直俺はそういうの信じてないしすがりたいとも思わないから、占ってもらっても占ってもらわなくても、現実は何も変わりやしないだろう。それに……。
「占いって高いですよね?」
テレビでよく見る有名な占い師の占い料金って高額な上、予約もいっぱい入ると聞いたことがある。俺にはよく分からない価値観だ。
「永音さんのことは、特別に無料で占いますよ」
「えっ、いいの!?」
思わず、前のめりになってしまった。しかも、なれなれしい反応。さっきまでの緊張感はどうした。
興味がなくても「タダ」というセリフには弱い。根っからの貧乏気質だな。
そんな俺に対して気分を害した様子もなく、瑞希さんは幼い笑みを見せうなずいた。
「もちろんですよ。私から言い出したことですから。それに、末森さんお気に入りのお客様から代金をいただくわけにはいきません」
末森さんに気に入られてる?五百円分の買い物しかしなかった俺が?
よく分からないけど、タダで占ってもらえるのなら良しとしよう。ワンクリック詐欺でもない限り、後で高額な請求書が来ることもないだろうし。瑞希さんも、そんな悪い人には見えないしな。
「ではまず、永音さんの性格を占います。永音さんにも色々な想いや悩みがあるかもしれませんが、己を知ることが解決策を導きだす鍵になりますので」
タマと同じことを言う。
意識を集中させているのか、瑞希さんは片手を水晶の上にかざし瞳を閉じた。
改めて見ても、やっぱり可愛いコだな。
彼女が声優を生業にするとしたら、クールで控えめな頭脳派の補佐役か、美形なスポーティー女子、影のある上官の役が似合いそうな、抑揚のない声をしている。
近寄りがたいミステリアスな雰囲気からは想像できない、気さくで丁寧な話し方。あまりの美しさに、最初はこうして向き合うのがつらいくらい緊張していたけど、今はなぜか、落ち着いていられる。
水晶にかざされた彼女の指先をぼんやり見つめていると、透明な水晶の中心から、白い光が放射線状に放たれた。
「光った……!?」




