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「人間の認識なんて甘っちょろいものなり。特に、君に関してはそれがおおいに当てはまるなりよ」
タマはしたり顔で言ってくれる。
「好きな相手の気持ちを知ろうともせず、自分の気持ちにも鈍感で、なのに親友の恋は後先考えず応援してしまう。かと思えば、傷ついた原因全てを周りのせいにして自分の殻に閉じこもる。君みたいな人には、本当に、かける言葉もないなり。バカ過ぎて」
「あの、言い返せない上に、そろそろ心が折れそうなんだけど……」
うなだれる俺に、タマは快活な声で言った。
「でも、ミーは君みたいな人けっこう好きなりよ。損得勘定で動いてないし」
「タマ……」
「人間はそういうもの。弱さがあるから強くもなれるなり。言魂使いを導く者として、君とは最高のタッグを組める、そんな予感で心躍るなり」
「色んな意味で、タマがうらやましくなるな」
「他人をうらやましがってるだけじゃ進歩できないなりよ。相手の長所を自分に取り込むぐらいの心意気でないと!」
「うん、そうだよな」
「じゃあ、手始めに、脱引きこもり生活を目指して外出癖をつけることからスタートなり」
もう、タマのペースだった。こうなった以上、俺は逆らうことなんてできない。直感だった。どことなくゆる~いタマの口調を耳にしていると、根拠なくなんとかなりそうな気がする。
けど、今さらこの生活を辞められるのか、俺はやっぱり不安だった。
「いきなり学校に行けだなんて言うつもりはないなり。導く立場にあるミーは、この思慮深さが最大の長所なりよ」
「そうだね、あはは……」
思慮深い、ね。けっこうズケズケ物を言うタマからは縁遠い言葉に見えるが、ここは黙って続きを聞いてみよう。




