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十四歳。中2の終わりを迎える頃、俺と響はユイのことを好きなのだと、どちらかともなく気付くことになった。
体育の授業が終わった後の話である。
俺達男子はグラウンドでサッカー、女子は体育館でバレーボールをしていた。
ユイは、バレーボールでパスをする際つき指をしてしまったらしく、体育の授業を終えて制服に着替え終わってからも調子悪そうにしていた。友達には平気って顔をしてたけど、ユイが無理してるってことに、俺と響はすぐに気付いた。俺達は、彼女を保健室に連れていくことにした。
あいにく保健室の先生はいない。
俺はユイに、手をだすよう言った。
「つき指したなら、テーピングくらいはしといた方がいい」
「えっ、うん……」
ユイはためらいがちに右手を差し出す。
響は、俺の前で彼女の心配をしていた様子などみじんも見せずテーピング用のテープを棚から取り出し、
「相変わらず無理して」
と、ユイの手に応急措置を施した。気のせいか、響の声音はいつもより柔らかい。
ユイはユイで、妙だ。俺達に手当てされるのを恥ずかしがっている。昔だったら、
「私にBLパワーを注入して傷を癒して~」
と、変なセリフを吐きながらケガの手当てを頼んできたのに、今はまるで違う。過去のユイと同一人物とは思えない。
「優しいね。永音と響は。私が無理してるの、気付いてくれたんだ。他のコには隠せてたのに」
しとやかに言い微笑なんてするものだから、俺達はすっかり調子が狂ってしまう。
その夜、響から俺に電話がかかってきた。
『前から自覚はあったんだけど、俺、ユイが好きだ』




