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「そうだなぁ。あくまで私の主観だけど~。響は強気に見えてMっ気があるし、永音は控えめに見えてちょいSなところがあるから、実にバランスの取れたカップリングなんだよね~。いいよね、SとMで引き合う男同士の純粋な熱愛……!んふふ」
「わけがわからん!」
俺がユイのBL談義(いや、妄想の爆走)に慣れるまで、数年はかかった。かなり、精神力が鍛えられたと思う。
中学に上がる前には、ユイの腐女子発言を「はいはい」とかわせるようになっていた。我ながら、よく頑張った。
ちなみに、小学校生活の中で、ユイはとうとう、女子の友達を作れなかった。
そう説明してしまうとユイが痛い女にしか見えず、先に語った美点が全く印象に残らない残念な人物に映るかもしれないが、友達ができない彼女に対し、俺は同情もしていた。なぜなら、ユイは時折、真面目な顔で、
「響と永音の仲の良さがうらやましい」
と、言っていたから。あれは、『心おきなく付き合える同性の友人が欲しい』という、ユイの本音だったのではないかと俺は解釈している。
俺と響を脳内で好き勝手にカップリングするという迷惑行為を働いていようとも、ユイは俺達にとって大事な仲間に違いない。
女子全員から距離を置かれまくっているユイに同情せずにはいられなかったし、もし自分が彼女と同じ立場になったらと考えたら胸が痛んだ。同じ趣味の女子が現れて、友情を築けるような、ユイらしくのびのび付き合える相手が見つかればいいのにと願ったりしていた。
響と俺は、ユイのBL萌えに呆れつつも、毎日彼女と遊んでいた。ゲーセンで格闘ゲームをやったり、クラスの男子達と神社や公園で遊ぶ時も、ユイは俺達にくっついてきては楽しそうにしていたし、無理矢理付き合って男子の輪に加わってるって感じでもなかった。
でも、やっぱりそのままの自分じゃまずいと、危機感を覚えたんだろう。中学生になってから、ユイの言動はかなり変わった。




