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「分かるなり。恋とはそういうものなり。仕方ないことなり。全部話して、楽になるなり。ミーがひたすら聞いてあげるなり。傾聴というやつなり」
「いいよ、もう。終わったことだし。話したってどうにもならないだろ?」
タマの言葉は心強い。でも、それだけで……その気持ちだけで、充分だ。今さら救いなんて求める気はないし、響のことはあまり思い出したくないから。
本当のことを言うと、俺は学校の様子が少し気になる。
学校の皆が俺を忘れているであろうことや、響との友情が元に戻らないことも含めてありのままの現実を受け止めてきたけど、心の底では、純粋だった昔の自分に戻りたい、と、無理な願望を抱いてたりする。響との友情に価値を覚え、彼と共有する時間が楽しかった、何の疑いもなく周りのクラスメイトと打ち解けていた小学生時代の自分を取り戻したいって思ったりする。でも、リアルはそれを許さない。人も環境も、想いも関係も、どんどん変わってしまう。俺が響を拒絶してしまったように。
大好きだった親友。なのに、俺達の関係は、おかしくなってしまったんだ。ユイという、共通の女友達を好きになってしまって以来――。
「タマ、ありがとう。気持ちは嬉しいけど、今さら何かを変えられるわけじゃないし、俺も、何かを望んでるわけじゃないから」
タマなら、こういう微妙な失恋男子の心理を理解してくれるだろうなと期待していたんだが、その期待は真っ向から裏切られた。
俺の言葉に納得できなかったんだろう、タマはもどかしそうに強い口調で、
「ミーが君のことを心配するのは当たり前のことなり。ミーは言魂使いを導く者。くどいようなりが、あまり分かってないようだから何回でも言わせてもらうなり。ミーは、言魂を自在に操ることのできる君を正しい方向に導かなくてはならない。これはかなり重大な役割なりよ。君も、自分がただの人間じゃないってことを自覚してほしいなり。
君の悩みや喜びは、世界に大きな影響を与える……。『ただの感情』と侮ったらゲームオーバー!!バッドエンド直行!君は、世の中の人に迷惑をかけたくないと言ったなり。だったら、言魂使いとしての自覚を強く持って、自分の心と真っ正面から向き合ってほしいなり。また、ミーには、君をそうさせる義務があるなりから」
俺は圧倒されていた。タマは、単に俺を心配しているわけではないし、興味本意で俺の傷を知りたがっているわけでもない。純粋に、言魂使いを導く者としての使命感を持ってるんだ……。




