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響は誰にでも好かれていた。差別や偏見を持たず、意地悪なことを言うでもなく、皆に対して平等な言動で接していたからだ。それは、気に入られるための演技などではないし、媚びを売って得た人望でもない。
いつも、自然な感じだった。誰に対しても、爽やかで明るくて親切で……。人の悲しみに共感し、悲しんでいる人を見かけたら元気づけようとする。皆が楽しんでいる時は、自分も冗談や笑える話をして皆を笑顔にさせていた。
俺は、響のそんなところが昔から大好きだったし、尊敬もしてた。彼と友達でいられることを誇りに感じたりもして。
「響とは、小学生の時からずっと仲良くしてた。でも、それは過去の話。絶交したんだ」
タマは悲しそうにうつむくけど、俺の気持ちは落ち着いていた。淡々と、
「だから、さっき響がウチに来た時はビックリしたよ。響を避けるために俺は引きこもってるのに。うっかりドア開けちゃったこっちも悪いんだけどね」
「……そんなことがあったなりか……。どうして、二人の仲は悪くなったなりか?」
控えめな口調で、しかし、はっきりと尋ねてくる様はタマらしいと思った。
タマとの出会いが、全ての始まりだった。
俺は一生家に引きこもって、外界から離れた世界でひっそり生きていくつもりだったのにね。ストラップタマと会話できたことがキッカケで、少しずつ俺の日常は変わっていった。
「響と、同じコを好きになっちゃったんだ」
絶対誰にも言わないと決めていたことを、タマに話した。
「学校行かずに引きこもったのも、俺を訪ねてきた響を追い返したのも、それが原因」
ここまで話せば、後は想像で補ってくれるだろう。タマは、見た目の愛らしさに反して人生経験豊富そうだし。
「好きなコがかぶって友達と絶交する、までは分かるなり。まぁ、よくある話なりね。でも、そんな理由で学校まで休むなんて、なんというか、君はウルトラデリケート人間なりね。ホントに。ミーにはちょっと考えられないなり。響君は君のことを心配してるんじゃないなりか?親友なら、なおさらなりよ」
そんなつもりはないんだろうが、響の肩を持つようなタマの言葉に俺はムッとした。
「心配、ね……。何もかもスムーズに行ってる勝ち組の響に同情されても腹が立つだけだし。ストラップのタマには、人間の恋愛事情なんて理解できないんだよ」
完全な八つ当たり。言魂使いだろうが何だろうが、俺は最低な男だよ。人として、醜いこと極まりない……。
なのに、タマは怒らずこっちの話に耳を傾けてくれた。意外な展開。




