表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オラルメンテ コンフリクト  作者: 蒼崎 慶
19/143

 俺の戸惑いなどスルーして、吹き出し型ストラップは話しかけてくる。

「ミーは、言魂使いを導く者オラルメンテ・グイダーレとして、この世界にやってきたなり。君を……。言魂使い(オラルメンテ)を正しい方向に導くために」

「オラルメンテ?」

 そう言えば、末森さんもそんなような単語を口にしてたな。でも、さっぱり意味が分からない。

 俺の内心を読んだのか、吹き出し型ストラップはキュートボイスで説明した。

言魂使い(オラルメンテ)とは、自分が発した言葉通りのことを実現する能力を持った人間のことなり」

「えっと、それってどういうことだ?」

「例えば、君が『パンを食べたい』と感情を込めて口にしたとする。すると、近い将来、何らかの形で君は自分の望むパンを食べることができるなりよ。それは、家の人がお土産みやげとして持ち帰ってくるのかもしれないし、君が直接誰かにもらえるのかもしれない。自分の力を使わずに、他者や出来事を操作することで願望を叶えられる人間。そういう力の持ち主を、言魂使い(オラルメンテ)と言うなり」

「それって、俺自身は努力せずに、口にした願い事なら何でも叶えられる人間ってこと!?」

「簡単に言うとそういうことなり」

 にわかには信じられない話だ。でも、こうしてストラップと会話しているのはたしかだ。非現実な現象をの当たりにした俺は、この桃色小物の言葉を信じそうになっていた。八割がた信じてると言ってもいい。

「申し遅れたなり。ミーの名前はタマ。言魂使いを導く者オラルメンテ・グイダーレなり。君を導く役目を果たすため、あの店で君を待っていたなり」

「俺を導くために、あの店で待ってた?

 けっこう信じちゃってるけど、タマの言うことは難しいね。俺にはピンとこないよ。今まで、それっぽい特別な経験をしたわけでもないし……」

 タマはストラップの布地を駆使くししてドヤ顔を見せつけてきた。

「あの店の店主は、君が言魂使い(オラルメンテ)だと言っていたなり。店主は、自分と一緒に働いてる占い師の魔女に言魂使い(オラルメンテ)を探させていたなりよ。だから、ちょうどいいと思って、ミーはあの店で君を待ち伏せしてたなり」

「そこまでして、タマと末森すえもりさんは俺を探してたの?どうしてそこまでする必要が……?」

「末森?あの店主の目的は分からないが、無害そうだから放置しておいたなりよ。

 君は知らないみたいなりが、言魂使い(オラルメンテ)は非常に危険な存在なりよ。野放しにするわけにはいかないなり。よって、ミーは君を見張り、その能力をどう使うべきかサポートするなりよ」

「話は何となくだけど分かったよ。でもさ、見張るーとか危険な存在だーとか、聞いてると穏やかな話じゃないね。世界征服をたくらむ悪どい人間だって認定された気分だよ、俺は」

「君のそういうところが、これまではきちと出ていたのかもしれないなりね。今まで人らしい生活をしてたみたいだし。君みたいな言魂使い(オラルメンテ)は珍しいなりよ」

「そうなの?」

「はぁ」

 タマはわざとらしくため息をつき、

「君は自分のことを知らなさすぎるなり。よく、それで、今まで問題なくやってこられたなりね」

「そう、かなぁ?」

 中学生活を後半でドロップアウトした身なのに?と、心の中で突っ込んでいると、

「まぁでも、君は心配なさそうなりね。あまり外出が好きではないみたいだし、人との交流範囲も狭いと見えるなり」

 タマの鋭い観察眼に、俺はたじろいだ。うるさい!余計なお世話だ!引きこもりで何が悪いっ!

 っていうか、タマって、俺のサポート役を名乗るわりには、けっこう痛いとこ突いてくるよなぁ。普通、サポーターは優しいものだろ。冒険系ファンタジーゲームに必ず一人は登場する回復役の魔法使いだって、たいてい控えめで察しのいい優しい性格をしてるというのに。

 俺はちょっとした反発心から、

「タマこそ、言葉には気をつけた方がいいんじゃない?引きこもり相手に『交流範囲が狭そう』だなんて、ハード過ぎるよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ