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その間、もちろんタマも一緒だった。
タマは瑞希ちゃんに会うたび、
「変な薬ばっかり作ってないで、魔法使いならそろそろまともな調合を覚えてほしいなり」
と、彼女の失敗作に辛口評価ばかり浴びせていた。
「瑞希ちゃんだって一生懸命やってるんだから、そんなこと言うなよ。最近ますます、嫌なこと言うようになってないか?」
俺が少し強めに注意すると、タマはつまらなさそうにそっぽを向いて、
「言魂使いが正しい行動をしてると、他にすることがなくてミーはヒマなり。よって、他者の欠点に目を向けるしかないなりよ」
と、理不尽なことを言い、イジけた。俺のせいかよっ!!
「ごめんね、瑞希ちゃん。タマのやつ、最近ますます気難しくなってて……」
「大丈夫ですよ。タマさんにご指摘いただくたびに、私も、早く成果を出さなくては!と、やる気が出ますから」
瑞希ちゃん、そうは言ってくれるけど、けっこう傷ついてるんだろうな。好きで失敗してるわけじゃないんだし……。
家に帰ったら、ガツンとタマを注意しなきゃいけないな。
見た目は可愛い吹き出し型ストラップなのに、俺といる時間に慣れるにつれ、扱いづらいキャラになってないか?
そういえば、タマは以前、この店から妙な感じがすると言っていたけど、最近はそんなこと言わなくなった。あの時限りの異変だったのかな。
タマが割ってしまったビンに関して、この前瑞希ちゃんに訊いてみたら、「記憶を消す魔法薬の失敗作です」としか説明されず、それ以上突っ込んで質問するのも気が引けた。
とにかく今は、遠田さんの傷ついた心を回復させることだけを考えよう。他の疑問は、俺の頭では分からないことばかりだし。




