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「はい。新生活で心機一転し、傷つく前の自分に戻りたいと高校に進んだものの、元親友の言葉が頭をめぐり、クラスメイト達との接し方もぎこちないものになりました」
「それで、今は誰とも口をきかなくなったのか……」
心が痛む。同じようなことが自分の身に起こったら、俺も彼のようになると思う。
「ひとつの歯車が抜けてしまうと、全てが少しずつ鈍化して、自分の力では直せないところまで、心は崩れてしまう。
また傷つくくらいなら、自分独りの世界にいる方がずっと楽だし、落ち着くもんな。俺は、その感じわかる」
「そうですね……」
一呼吸おくと、瑞希ちゃんは強いまなざしで、
「でも、悔しくありませんか!?たった一人のせいで自分の生活を……人生を乱されるなんて……!」
「くや、しい?」
「はい。これは私の想像なのですが、彼に無慈悲な仕打ちをした親友は、彼の性格の良さをうらやましがっていたのだと思います。購入ルートの限られたレアカードを入手しても、自身の喜びを表に出さず他人を気遣う心。十三歳の少年とは思えないほど、大人です。人望も厚かったでしょう。
親友は、彼の部屋でレアカードを見つけてしまった時に、これまで抱えてきたやり場のない想いを爆発させてしまった……。
人は、身近な人の存在を自然と自分と比べてしまうもの。同性同士ならなおさらでしょう。そういう感情は否定しませんが、この場合、あの人は悪くありません。親友の逆恨みです。なのに、彼が気に病み、他の人間関係にまで悪影響を及ぼすだなんて、もったいないですよ!
本来彼は、人と明るい関わり方のできる素敵な性格を持った方なのに……」
「そうだね」
瑞希ちゃんの言い分はもっともだ。傷つけられた側がマイナスの生き方をし続けなきゃならないなんて、やる瀬ないよ。




