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記憶に新しい。俺が小6の頃、クラスの中で もそのレアカードの取り合い事件ってのが起きて、担任まで巻き込む大騒動となった。
「あの人、もしかして、レアカードゲットしたの? 」
「はい」
瑞希ちゃんは複雑そうな表情でうなずく。
「彼は、そのカードを大切に保管していました し、入手したことは誰にも話さなかったそうで す。なぜなら、彼の友人は皆、残念なことにそ れを手に入れることが出来なかったからです。 そこで自分が入手していると言ったら自慢にな ってしまい、自分だけのけ者にされてしまうと 不安になったそうです」
「そうだよな。ウチのクラスにもゲットした人 が何人かいて、皆に見せびらかしてたら、一気 に嫌われ者になってたもんな」
「永音さんのクラスでもそういうことが起きて いたのですね」
「うん。あの頃はホント、ゲーム人気がすごか ったよ。レアカードなんて俺はほとんど手にし たことなかったから、持ってる人がいたらうら やましくてしょうがなかったもん」
「さすが、発売後わずかな期間でヒットした商 品なだけありますね。
でも、あの人にとって、レアカードを手に入 れた、その幸運な出来事は人間不信の引き金に なってしまったのです。
ある日、彼の家に親友の男子が遊びに来たそ うです。彼にとって、その親友はもっとも信用 できる友人だったのですが……。
親友は、あの人が秘密にしていたレアカードのこ とをなぜか知っていたらしく、彼が部屋を出て いる間に、こっそりカードを持ち出したのです 。親友もゲームの大ファンだったのですが、レ アカードは入手出来なかったのです。だからこ そ、あの人は唯一の親友にもレアカード入手の 事を黙っていたのですが、皮肉なことに、彼の 優しい性格を見抜いていた親友は、それにつけ こんで盗んだレアカードを自分のものにしまし た」
「それはヒドいな。信じてた友達に大切なカー ドを盗まれたら、人間不信にもなるよ!」
俺は、自分のことみたいに腹を立てていた。




