◆
「あの人、瑞希ちゃんと親しいんだね」
「頷きたいのは山々ですが、そうでもないのですよ。彼が定時制の高校を辞めた、そういったお話を聞いたのも、つい先日のことなのです」
「そうなんだ。俺が来るより前から通ってる人だから、友達なんだとばかり」
あの人は、会い慣れた瑞希ちゃんを相手にしてもあまり口を開くことがないんだな。
「誰とも話したくなかったのかな……。そういう気持ち、俺も経験したことあるから分かるけど、占いをやらなきゃいけない瑞希ちゃんとしては大変だったんじゃない?相手が何に悩み何を求めているのかを知らないと、占いようがないわけだし……」
俺を占った時みたいに、目に見える魔法を堂々と使うわけにはいかないだろうし。
「永音さんのおかげで、そのハードルは越えられました」
瑞希ちゃんは、カウンターに置いてある水色のビンを取り、可愛らしくウィンクする。
「俺は何も……」
まさか、知らぬ間にまた、言魂使いの力を使ってあの人に変な細工をしてしまったのか、俺は!
「この薬の効果です」
ホッ。どうやら俺ではなく、瑞希ちゃんお手製魔法薬のおかげらしい。薬のおかげで、無口なあの人は口を開く気になったそうだ。
「これは、人の心をリラックスさせる薬なのですよ。私にしては珍しく自信作でした。しかし、飲んで下さる相手がいませんでしたので、効果を確かめることが出来ずにいたのです。そこで、こちらに来店して下さったのが永音さんでした。もう、この上ないほど緊張してみえたので、薬効を試すのならば今しかない!そう思ったのです」
「なるほど」
通りで、あの時、目を覚ました後スラスラ話せるようになってたわけだ。
瑞希ちゃんとの初対面時、俺はぎこちなさMAXだったもんな。実験台には打ってつけの精神状態だったんだろう。




