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オラルメンテ コンフリクト  作者: 蒼崎 慶
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「活動記録!?言魂使い(オラルメンテ)は、記録に残すほどのことを何かやってたの?」


「力を使って、主に人助けをしていたんだって。例えば、戦後の荒れた時代、空腹で倒れそうになっていた妊婦さんを落ち着ける土地に住まわせて食糧しょくりょうを分け与えたり、ケガをして動けなくなっている子供の傷を治してあげたり。


 口にした願望が現実になる……。言魂使い(オラルメンテ)はその能力を生かして日本全国を渡り歩き、困った人の力になっていたそうよ。


 さっき、父さんの親戚に言魂使い(オラルメンテ)らしき人はいなかったと言ったけど、本当は()()のかもしれない。正体を隠して、私達に接していたかもしれないわね」


「うん……」


 俺も、周りの人に自分の正体を隠してる。母さんやひびきにさえ。だから、父さんの先祖や親戚がそうしていたとしても不思議じゃない。


 戦争も、昔のこととはいえ、人間の歴史から見たらまだまだ最近の話で、大昔のことってわけじゃない。とはいえ、俺は戦争を体験したことのない平成生まれ。だから、当時のことは分からないけど、ものすごく大変な時代だったってことは、社会や歴史の授業で思い知らされた。


 今でも頭に焼き付いているのは、広島と長崎の原爆投下。イラストで表現された当時の様子を見たのは小5の時だった。衝撃が強すぎて、何の授業でその話を聞いたのかは忘れてしまった。

 アメリカ人に差別意識なんてなかったけど、原爆のイラストを目にしたその時ばかりは「人でなし」と強く思った。


 戦争を体験した人々は、俺の想像を絶するくらい深い悲しみを覚え、つらく苦しい時を生き抜いたんだと思う。全国的に貧困。物質の無い時代。ケータイ電話すら無く、お菓子も無く、コンビニも無く、親や子供の命が目の前で失われる日常。


 もし今、俺がその時代に生きなければいけないとしたら、1日で精神力を消耗し気が狂ってしまうと思う。現代人に比べ、昔の人々は周囲と支え合って生きたというけど、俺は自分の衣食住のことばかり考えてしまうだろう。


 そんな過酷かこくな時代に言魂使い(オラルメンテ)が活躍していたことを知り、心から嬉しいと思った。つらい時、人は自分のことで精一杯になり、他者たしゃを思いやる余裕を無くしてしまうものなのに、言魂使い(オラルメンテ)達は――。少なくとも、俺のご先祖様は、善徒ぜんとだった。




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