11/28
見えない咎
水晶玉が割れた
その音を僕は確かに聞いた
その音の正体を僕は知っていた
君の音だった
君の心の音だった
君の心が砕けた音だった
理解して拒絶した僕がとどめを刺したことなど
君は気づいてもいないだろう
無関心に包まれた棘は性質が悪い
そんなことも今や判らないだろう
君は散った後なのだから
過去の過ち
現在の後悔
未来の償い
全ては去ってしまった後の悪い足掻きだ
僕に出来ることを模索する
それはあまりにも不出来な僕自身の枷
いつでも抜け出せるくせに
いつでも外せるくせに
無闇に身を捩って逃れられないふりをする
救いなどいらないとほらを吹き
その実、誰よりもクロノスへ祈願を捧げる
叶えられない駄々をこね続ける醜い人の子
それを誰よりも自覚しながら手を伸ばすことを止められない
上を見上げた僕に
今日もあの日の君が落ちてくる
全身へ降りかかった朱が始まりを告げた―




