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そう出来ている
苦い
苦すぎる
君のためなれば
君の唯一の友としての責務だから
そんな理由で君の側に居続けることの
何と窮屈
何と怠惰なことだろう
実質の滅びは存在しなくとも
君の世界から失せてしまった自己が
いまさらのように憎い
君の清廉なる心の奥底にあるヘドロは
僕が吸い上げよう
君の純真なる瞳に沈み込む鬼は
僕が被ろう
約束した日より早幾歳
今日も僕は肯定する
今日も僕は飲みこむ
君の一切の選択を
一切の共感なく
一切の感覚を捨て去って
肯定しよう
それを望むのが君である限り
君の側のぽっかり空いた空間にはまる
僕の型はそう出来ている
苦い苦い水を飲んで
咀嚼して
君の世界に移る
甘い甘い水を
君の水溜めに一杯にするために
今日も僕は毒を喰らう
「―― ・・・・ ――」
「そうだね」
苦い甘さが口いっぱいに広がった――




