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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
昭和 8
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戦争会議

-ハワイ-


「アメリカ大統領、ルーズベルト大統領の病死は聞いている。陛下もスウェーデンを通じて弔意の声明を送り、更に国会議事堂でも半旗を掲揚したようですけど」


山本五十六はハワイに停泊する連合艦隊旗艦、紀伊の司令長官室に影鎖を呼んでいた。


「これは、貴方がたの知る歴史と一致していますか?」


「概ね、一致しています。確かに、ルーズベルト大統領の病死に対して陛下は弔意を送っておりますし、半旗も行っております。しかし、ルーズベルト大統領の病死は45年の4月12日の筈です」


山本は暫し考え込むポーズを取る。影鎖も納得できなかった。幾ら、自分達が歴史を少しずつ変えてきたとはいえ、人の病死が早まるなど考えられなかったからだ。


「やはり、歴史は修正不可能な所まで来ているという事ですな。2日前、関東軍には知り合いがおりましてな。その者が、緊急伝を送ってきました」


そう言って山本は懐から送られてきた電文を取り出した。


「満ソ国境線に、ソ連軍集結の兆候あり。これも、貴方がたの知る歴史にありますか?」


「ありますが、それは終戦直前の出来事で、早すぎます。まあ、それを言うと本大戦でスターリンが死ぬ事も無かったんですけど」


大祖国戦争にてスターリンは勝利し、ベルリンを陥落させ、ヒトラーを自殺に追い込んでいる。だが、こちらでは逆にヒトラーが勝利し、モスクワを陥落させ、スターリンを自殺に追い込んだ。


「分かりました。では、こちらも動きましょう。歴史が修正できないのなら、とことん最後までやってやります」


「はい。分かっています」



-鎮守府 会議室-


「今日、お集まり頂いたのは他ではありません。予てよりの計画、アメリカ本土上陸作戦の計画を本格的に決定いたします」


ハワイ鎮守府に移動した山本は、陸海軍の幹部を集めて最終調整に入った。


「現在、アメリカ艦隊は再建のためにノーフォークに移動しています。サンディエゴには少数の駆逐艦と巡洋艦が居るのみで殆ど無警戒で、脅威とはいえません」


軍令部から派遣された神重徳は軍令部から持参した作戦計画書に沿って説明していく。


「そこで、海軍落下傘部隊はパナマ運河に降下し、現地を占領してアメリカ艦隊を太平洋と大西洋で分断します。そして、その間に陸軍落下傘部隊はシアトルに降下。陸軍の主力部隊はサンフランシスコとロサンゼルスに上陸して一気に西進します」


「質問なのですが」


すると、陸軍の将校が手をあげた。


「どうぞ」


「その作戦だと、シアトルに降下した落下傘部隊は脆弱。とても内陸まで侵攻出来る能力があるとは思えません。それに、大兵力で包囲されたら、全滅か降伏かになってしまいますが」


「ですので、この部隊にはゲリラ戦に優れた人間を配置していただきたい。北部の森林を巧みに利用してゲリラ戦を仕掛けられる人間を」


「と言うと、北部は敵の兵力を割かせる囮ですか?」


「そう言うことになります。一番頑強に抵抗してくれる人間が望ましいです」


「でしたら、人選はこちらに一任していただきたい。最高の人選を致します」


「お願いします」


そう言った神は、次に艦隊の動きを説明し始める。


「艦隊は、主力をサンディエゴの残存艦隊の殲滅に差し向けます。脅威が少ないとはいえ、陸上に向けて攻撃されては厄介なので。これは、空母艦隊にお願いしましょう」


「分かりました」


空母艦隊の指揮を任されている山口は承諾する。彼には新造空母『瑞龍』と『鶴鷹』が与えられている。飛行甲板を装甲化し、開放式二段格納庫を採用した新型航空母艦である。戦闘機、爆撃機、攻撃機の合計98機搭載の大型空母である。2隻居れば殲滅に十分だった。


「戦艦は二つに分け、両上陸地点の援護を担当してもらいます。航空支援は飛行場制圧までは海軍機のみが担当し、飛行場制圧後は陸軍航空隊が進出。陸海軍機による航空支援を実地します」


陸軍の戦闘機や爆撃機などを輸送する為に、本国から航空機輸送艦が向かってきている。平成で廃船が決定した艦を改造して作られた航空機輸送艦である。老朽化しているが、エンジンだけは新品を搭載している。


「サンディエゴを攻撃する空母艦隊以外は常にどちらの援護も可能な地点に待機していて貰いたい。そして、任意で航空支援を実地して頂きたい」




-東京 近衛公爵家-


「戦争は終結に向かっているそうじゃないか」


東京の近衛公爵家を訪れた林原は現状を報告していた。


「昨日、木戸内府にお会いしましてな。陛下も私を次期首相になるのなら賛成だと仰っていたそうだ」


「それは良い報告です、近衛公爵」


「だが、皮肉だな。私の始めた戦争を、私自身で終わらせる事になるとは」


「それが、戦争を起こした者の責任です」


「そうだな。だが、この講和は始まりに過ぎないのだろう?。次は、ナチス・ドイツと戦うのだから」


次の相手は、最大の同盟国であるドイツである。そして、今や世界の半分を治めた大帝国である。


「そんな帝国相手に、我が国は戦争をするのか」


「しかし、今度はアメリカやイギリスが味方になります」


近衛はただ静かに「そうだな」と頷くだけだった。




-リドー・ホール-


カナダの総督公邸であるリドー・ホールに、カナダに亡命したチャーチルが居た。


「日本を味方に取り組もう」


チャーチルは突然そんな事を言った。


「首相、本当に宜しいのですか?それは、アメリカに対する裏切り行為ではないのですか?」


「勝手に兵力を本国を戻したアメリカを信用できるのか?」


イギリスに駐留していたアメリカ軍は、日本との戦況悪化で本国防衛に回された。その為に手薄となったイギリス本国にドイツ軍が上陸し、敗北したのだ。今では、北部にてレジスタンスと逃げ送れたイギリス軍がゲリラ戦を展開している程度で、本国は完全に占領されていた。


「それに、私はアッサムティーが飲みたいのだ!!」


それを聞いて、閣僚達はがっくりした。まさか、紅茶も同盟を結ぶ理由にするとは思っても居なかった。


「まあ、しかし。日本とは早めに手を結んだほうがいいでしょう。このカナダにも上陸されたら、我々に逃げ場は無いので」


「ドイツは現在、大西洋を渡れる艦隊は保有していないので、現状の脅威は日本艦隊です。東洋艦隊を壊滅させた力を侮ってはなりません」


ドイツは現在、必死で海軍力を増強させてきている。しかし、現状イギリスにとって脅威なのは日本なのであった。


「分かりました。同盟の内容等を検討し用意を致しましょう。2ヶ月で準備が整います。そしたら、使者を日本に送って同盟を締結します」


イギリスは日本の同盟を組むため、動き始めた。

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