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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
平成 7
83/90

北の反撃 撤退編

-ソウル-


「殿軍は、損な役割だな」


建物に篭城する陸軍兵は、包囲している新羅軍相手に戦っている。


「ソウルは包囲されたようですね。徒歩での脱出は無理でしょう」


「おまけに、弾薬は残り僅かです」


殿軍と言うよりは逃げ遅れた部隊は、未だにソウル市内各所に立て篭もって戦っている。しかし、数で勝る新羅軍はそれを排除しながら市内を制圧していく。


「ヘリの救援を要請しましたが、来るかどうか」


ヘリで応援を呼んだが、制空権は新羅側に移りつつある。まだ制空権を保っているが、時間の問題だった。


「全員、死ぬ覚悟をしろよ」



-移動司令部-


移動司令部であるセミトレーラーはソウル市から高速を南下していた。


「ソウル市内各所で、逃げ遅れた部隊が抵抗しているようです」


衛星と無線傍受、それに情報端末で司令部はソウル市内の状況を正確に把握している。


「空の方は?」


乃木はディスプレイを見ながら言う。


「まだ、制空権はこちらにあります。各部隊から救援ヘリの要請が来ていますので、直ぐに向かわせます」


「急がしてください。敵空軍も活発な活動を始めています。このままでは、空も直に支配されるでしょう」



-ソウル市内-


「救援ヘリです!!」


ソウル市内上空を戦闘ヘリに護衛された救援ヘリが到着する。ヘリは兵士一人一人の位置を正確に把握している。これも、情報統制のお陰です。


「包囲している兵をふっ飛ばしてくれ」


地上に居る兵士達が言うと、戦闘ヘリはすぐさま包囲する新羅軍をロケット弾や機関砲で攻撃した。


「ヘリに乗り込め!!。グズグズしてると、空を新羅の戦闘機が飛ぶようになるぞ」


兵たちは急いで着陸したヘリに乗り込む。市内各所で同じ光景が見られた。


「離陸する。確りと掴まれ」


兵達を回収したヘリは、離陸する。そして、他のヘリと合流を繰り返しながら一つの編隊と成って南へと退避し始める。



「遅いぞ」


「渋滞に巻き込まれた」


ヘリの中でそんな会話がなされた。脱出できれば軽口が叩ける余裕がある。しかし、それも長くは続かなかった。


「隊長機、被弾」


先頭を飛ぶヘリがミサイルを喰らって爆散する。ミグ29が編隊を組みながら追い越していった。


「不味い、戦闘機だ!!。反撃する武器は?」


「対空装備のヘリなんて無い。全部対地装備だ」


撤退する兵が持っていた91式携帯地対空誘導弾で反撃するが、数が少なく高速で移動する戦闘機には効果が薄い。




「近接戦闘を挑め」


近接戦闘用のサイドワインダーとバルカン砲を備えたF15とタイフーンが4機ずつ到着する。そして、ミグ29相手にドッグファイトを挑む。


「2機で1機を仕留めろ」


F15のライバル機、ミグ29は高い運動性能を持っている。F15では一筋縄にいかない。


「倍を優位にしろ。一人で落とす事を考えるな」


F15とタイフーンは2機で1組の編隊を作り、ミグ29を相手する。


「全機撃墜、よくやった」


案の定、損害無しで相手を全滅させた。しかし、まだ新羅軍は序の口である。新鋭戦闘機をまだ多数保有しており、迎撃してくるのはまだ老朽機だけである。


「噂じゃあ、T50も持っていると聞くがな」


ロシアのステルス戦闘機、T50。北朝鮮の代理会社を通じて購入されたと噂されている新羅軍の戦闘機である。しかし、未だに実態がつかめずにいる。


「とにかく、警戒しろ。レーダーに映らんからな」



-スウォン市-


「何とか撤退できましたね」


移動司令部はスウォン市に着いた。高速は既に戦車隊がバリケードを構築。市周辺にも斥候部隊を出して警戒している。ソウル市の二の舞は避けられそうだった。


「市内にも部隊を展開。ここで守りきる」


各部隊は直ぐに市にバリケードを作る。ここで迎え撃たなければ、ここまでの苦労が全て無駄になるからだ。ここで負ければ、第一軍集団は敗北を意味する。だから負けられなかった。


「総員、覚悟を決めろ」


兵全員が覚悟する。背水の陣とは、この状況を指すのだろう。逃げられない、負けられない。


「まさか、こうも早く決戦の時がこようとは」


乃木も驚いている。もっと攻めてから、決戦だと思っていたのに。こんなにも早く決戦が起こるとは予想していなかった。


「しかしこれで、終結が早くなりますな」


乃木はそう言って、双眼鏡を覗いた。市外では既に斥候同士がぶつかっていたのだ。

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