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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
平成 7
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上陸へ向けて

-国防総省-


「現在、拿捕した潜水空母を横須賀のドックに入れて修理と同時に調査を行っております」


北里は国防総省内で調査員からの報告を受けている。


「恐ろしい事に、この技術は我々よりも20年は先を行っています。非常に合理的とも言える情報共有システムを持ち、火器管制レーダーをはじめ、高度に組織化された情報統合システム。こんな物、北だけで作れる代物ではありません」


プロジェクターを使って、映されている映像には艦内図や現在分かっている情報が投影されている。北里はそれを見ている。


「ロシア語らしき物が所々にあるそうなので、翻訳も進めているそうです」


「ロシア?」


北里は疑問に思う。ロシアは2000年代に入ってから軍事的には親密な関係を持っていない。兵器を提供されても、共同開発は出来ない。そんな国の技術を北が持っていたのだ。


「これは、事を早めなくてはならんな。とりあえず、あの潜水空母は調査と修理を並行して行ってくれ」


「分かりました」


そう言って、調査員は部屋を出て行く。それを確認して、北里は首相官邸に連絡を入れる。


「総理、例の潜水空母にロシアの技術が使用されているそうです。まだ調査中ですので、ハッキリとは分かっていませんが」


『ロシアか。あの国も、影で何を企んでいるのか分からん。ソビエト時代から思うが、本当に不気味な国だよ』


「しかし、事を急ぐ必要が出てきました。半島への上陸を早めます」


北里は計画していた半島からの中国に対する反撃作戦を北が韓国に侵攻した時点で考えていた。しかし、それは海と空での勝利が決定的になってから実行する計画であった。


「まだ、朝鮮半島の制空権は確立していませんが、これ以上面倒事が増えると苦しくなるので」


『分かった、許可しよう。私は軍事には乏しい事はもう分かっているだろう。餅は餅屋だ。専門家に任せるよ』


「分かりました。では、早速作戦を練ります。そういえば、ゲートブリッジの再建に関してですが、施設部隊用予算の一部を再建費に充てます。一応、軍事行動中の崩落でしたので」


『東京都知事とも話し、再建は国と都でやる。都の方も了承しているし、それは構わない』


「いえ、新兵の良い訓練になります。一部だけでも出します」


『そちらがそう言うなら、都とも話をつけて置く。それとロシアの事は外務省に任せる事にするから、そっちは絶対にロシアと事を構える考えを持たんでくれよ』


「分かっておりますよ。まずは半島。それからは状況次第です」


そう言って電話を切る。



-万寿台議事堂-


最高人民会議が開かれる万寿台議事堂には、国防部の重役などが出席して金正日の演説を聞いている。


「我らが人民は、仇敵日本への宣戦布告を行った。これは我々の聖戦であり、人民が果たさなければ成らない聖戦である。わが国を不当に併合し、全てを奪った倭奴ウェノムに復讐を遂げるのだ。我々人民が日本を併合してやるのだ!!」


議事堂内は拍手喝采である。興奮した人間が正常な判断を行えなくなる事をよく示した光景であった。


「その為には人民全ての協力が不可欠である。聖戦に反対する反逆者を殺し、人民一丸となって戦わねばならない。人民諸君は誓って欲しい。この聖戦を、最後まで戦い続けて欲しい」


拍手がより一層大きくなる。テレビ中継も、生放送で半島全域に放送している。


「人民に栄光あれ。人民に栄光あれ!。人民に栄光あれ!!」


「「人民に栄光あれ!!。人民に栄光あれ!!。人民に栄光あれ!!!」」


議事堂内に居る者は全員が万歳をしながら叫んでいる。



-国家主席私邸-


「統一独裁国家とは、こうも狂乱的になるものなのか?。周瑜公瑾(シュウユコウキン)軍事委員会主席」


ソファーに座って新羅の中継を見ている献帝は後ろに控えている周瑜に聞く。


「はい。我が国と違い、領土全てを見張れる新羅はこの様な統一的主張が出来るのです」


「ふむ。ちと詰まらんな。何だかんだ言っても、人間だ。心まで100%同じ考えを持たせる事など不可能なのだ。だから我々は人民の心までの統一をやめたのだ。増え続ける人民の不満を緩和させる事は出来たが、それもまた所詮どこまで行っても人間。不満は表れる」


「はい」


「この戦争は増えすぎた人民の数を減らすのに丁度良いかもしれん。既に10万人以上が死んでくれた。どんどん増えてくれれば幸いだよ。最悪は、人民全員を滅亡させる覚悟を持っている」


献帝は不気味な薄ら笑いを浮かべる。低身分から国家主席まで伸し上がった人物の真意を、党員を含めた人民全員が計り損ねていた。そして、周瑜は献帝が主席になったのが間違いだと、この時気付いた。


(これ以上、この人の暴挙を許すわけにはいかない。何としてでも止めなくては)

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