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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
昭和 7
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平定の海戦 中編

-大和-


「電探に感あり!!。敵機多数接近中」


大和に搭載されている電探が敵空母から飛び立った艦載機を捉えた。艦橋は落ち着きを払っている。電探のお陰で、余裕が生まれているのだ。


「航空参謀、迎撃機上げたまえ。それと、格納庫の機体に対艦兵装を装備させろ」


第一航空艦隊司令の山口は航空参謀の源田に指示を出す。




‐東郷-


「各艦は輪形陣を崩すな。こちらに来る艦載機は全て落とす」


影鎖は各艦に命令を発する。そして、各艦がイージスシステムを展開する。


「上空の機は燃料に余裕がある機のみ待機だ。余裕のない機は急いで収容させろ」


イージスシステムは強力な電波を発する。その電波は人体に有害な為に作動中は外に出ることは出来ない。だから、収容が行えなくなる為、燃料に余裕がある機のみ待機させることにした。


「燃料に余裕の無い機は全部で12機です。収容作業は5分で終わらせます」


既に、戦闘機が次々と着艦を始めている。着艦できた機から、急いで翼を折り畳んでエレベーターで収容する。


「甲板には必要最低限の人数しか居りません。敵機の到達は30分後です」


「それまで、緊張感を失わない程度に休んでおけ」



「敵機視認、空母に近づけさせるなよ」


迎撃に向かった烈風改は全部で80機。敵機は4隻の空母合計198機。内、戦闘機は80機。数では、互角だった。


「敵はレーダー誘導圏外でこちらに気付いていない。一気に勝負を掛けるぞ」


烈風改は相手の頭上から一撃離脱を掛ける。速度を増しての、一撃離脱。相手が気付いたときには


「もう遅いんだよ!!」


そう言って、ようやく気付いて機銃をこちらに向け始めたアベンジャーに20mm4門を叩き込んだ。


「撃墜だ!!」


迎撃隊隊長の八神少佐は機体を上昇に移らせる。上昇途中に状況を確認すると、落ちていく航空機を合わせて30機程確認する。その中に味方の機は無かった。


「第一撃での我が方の損害は無し。敵は30機程撃墜」


母艦にそう連絡し、再び降下に入った。




‐大和-


「全部で2撃を加え、総撃墜数70機程だそうです。今現在は格闘戦に移行しており、自分の戦果確認に手一杯で、その後の詳細は不明です。こちらの確認できた損害は13機だそうです」


航空参謀の源田が伝える。山口は椅子から立ち上がり、敵の向かってきている方の海面を見る。


「敵との接触時間は?」


「あと、5分です」


「では、あれか」


山口は双眼鏡を覗くと、こちらの迎撃隊に迎撃されながらも進路を一切変えずに向かってくる敵攻撃隊を確認する。


「各艦、弾幕射撃を開始。個別目標を狙わずに、向かっている機全てを狙え」


もはや、機銃の旋回速度で航空機を狙い撃つ等不可能だった。そこで、山口は弾幕射撃を取り入れた。各機銃が担当の防空範囲を予め決めて置き、そこを防御する射撃方式だった。




「敵艦隊は二手に分かれている。一つは小型空母を2隻を率いる大型空母。もう一つは、大型空母2隻に率いられた中型空母8隻。艦爆隊は大型空母1、小型空母2の方を叩け」


米攻撃隊は二手に分かれて攻撃する。ちなみに、彼らの言う大型空母は『東郷』と『大和』、『武蔵』。中型空母は『長門』、『陸奥』、『加賀』、『蒼龍』、『飛龍』、『瑞鶴』、『翔鶴』、『大鳳』。小型空母は『ひゅうが』と『いせ』である。


「直援機は艦隊の防空範囲に入ったから襲ってはこれない。存分に叩け!!」



‐大和-


(そうだ。連中は直援機が襲ってこれないと思い、悠々に侵入できる。だが、我々の直援機は一味違うんだよ。)


山口が心中でそう言った時、侵入してくる雷撃機の背後に烈風改が付いた。そして、機関砲の攻撃で撃墜する。



「やったぜ」


直援機の中には、高木が居た。そして、先程の撃墜も彼である。



「馬鹿な!!。連中は味方の対空射撃の中を迎撃できるのか!?。しかも、危険な雷撃機の背後に付いての迎撃まで!!」


雷撃体制に入っている雷撃機は一番狙われやすい。その対空射撃の最中に迎撃機が入るなど、自殺行為でしかなかった。しかし、


「闘将山口中将の猛訓練が俺たちから弾幕射撃の中に飛び込む時の恐怖を払ったんだよ」


鬼山口の渾名通り、彼の訓練は厳しい。だが、それあって史実のミッドウェーで敵空母にただ一隻だけの攻撃隊で奮戦したのだ。



‐東郷-


「直援機は既に弾切れですね」


直援機は弾を切らして、ただ上空を逃げ回っている状況になった。その為、退避を命じた。


「さてと、ここからはイージスの出番ですね。」


攻撃しようにも、味方機が居た。そして、この時代の味方機に敵味方識別装置を積んでいない。積もうにも、スペースが無かった。だから、現在設計中の新型機には積む予定ではある。しかし、現状は積んでいないので、誤って誤射してしまう可能性もあり、攻撃は控えていた。


「彼らに経験を積ませなくてはならないし、その間我々は逃げ回らなくてはいけないし。大変だったけど、ここからはイージスの出番が回ってきた。」


あたご型とタイコンデロガ級がイージスシステムをフル活用する事が出来る会場ステージは整った。


「今から、イージスの独壇場です」


影鎖がそう言ったとき、あたご型とタイコンデロガ級が一斉にミサイルを発射する。



「なっ!?」


今まで、攻撃してこなかった艦が一斉に、しかも大量に攻撃を加えてきたのだ。上空の艦載機は驚かないはずがない。


「な、何だこれは!?。ロケットが、追って来る!!」


逃げられる筈が無かった。誘導装置に狙いを定められたこの時代の航空機は、ミサイルから逃れられるなど殆ど無しと言ってよい。


「終わったな」


大量に空から飛行機の部品が降り注いだ。ソロモン航空戦に続き、ここでもイージスの力を見せ付けた。


「今の攻撃で全て撃墜しました。しかし、第二次攻撃隊がまだあるかもしれません。警戒を解くのはやめましょう」


艦長の尾上は影鎖に言う。無論、影鎖もその積りだった。



‐エセックス-


「第一次攻撃隊との連絡が途絶えました。現在、第二次攻撃隊が向かっております」


ハルゼーに参謀が伝える。ハルぜーは銀時計は閉じる。


「戦艦部隊は戦闘準備。第三次攻撃は中止。第二次攻撃隊は呼び戻し、空母部隊は撤退する」


「て、提督。それでは」


「今、ここで全てを失ってはならん。我々の敵は、日本以外にも居ることを忘れるな」


ハルゼーはソ連の事を言った。ハルゼーも、ソ連の連中を気に食わないと思っているし、スターリンが死んだことでより一層不気味さが増していると思った。


「艦載機を収容次第、空母艦隊はサンディエゴに撤退する」


ハルゼーはそう言って、艦橋を後にした。

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