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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
昭和 7
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新型兵器

-ホワイトハウス-


「サンディエゴに艦隊を集結させておりますが、兵の士気も低く、なかなか戦える状況ではありません。」


ホワイトハウスに訪れたキングは、大統領に伝える。


「ただ、嬉しいニュースもあります。ノルマンディー号が空母として改装する為の増予算が獲得できました。」


ノルマンディー号の空母化が進められており、更に予算が投じられたのだ。


「完成はまだ分かりませんが、今年中には完成させようと、各工員が作業に励んでおります。」


「そうか。しかし、急がねばならん。五大湖工業地帯は、既に機能を停止してしまっている。ニューヨークのグラマン製造工業や中部工業地帯も爆撃にあっている。」


大統領は次々と来る空爆の被害報告を聞いて愕然としていた。しかし、まだ艦隊がある以上、ここで根を挙げる訳にもいかなかった。


「分かっております。しかし、ニューヨークが攻撃された以上、敵の爆撃機の航続距離は全米全土を射程に収めていると考えるしかあります。ですので、連日の空爆によるストレスも起こるかもしれません。」


「西海岸が壊滅してから、奴らは内陸攻撃も実行に移し始めている。ロスアラモス周辺に、新鋭の戦闘機も配備した。」


P51Dなど、ようやく高性能機を取り揃え始めたアメリカ軍は、急ピッチで量産に入った。今ある工場をフル稼働させて生産している。正に、工業大国アメリカの底力であった。




‐ハワイ-


「到着しましたね。」


真珠湾に入港して来たのは、大型の潜水艦が12隻。どれも、史実の日本海軍に存在しない潜水艦であった。


「前部に魚雷発射管8門。上部甲板には水の抵抗を増大させ無い様に工夫されており、前部耐圧殻を開放すると、そこにカタパルトが装備されており、艦内には晴嵐改を8機搭載しております。」


山本の隣に居る士官が報告する。


「更に、後部には噴進弾発射機が装備されており、内陸への攻撃も可能。艦橋後部の球体は、20cm連装砲が装備されています。潜航深度は350mを今のところ記録しました。」


どれも、現在ほどではないが、この時代では十分通用する装備となった。


「これが、対米戦の切り札。伊800潜です。」


伊800潜は停泊している空母の横の桟橋に停める。


「これで、アメリカ攻撃作戦の用意が整いつつあるな。」


山本がそう言ったとき、上空を富嶽の一団が通過する。



‐東郷-


「アメリカの無線が錯綜していますね。空襲で慌てているのでしょう。」


CICには、アメリカ本土に接近させた潜水艦4隻からの情報がリアルタイムで届く。


「情報化戦争とはよく言ったものだ。相手の情報を奪い、戦争を有利に進める。我々の時代では、既に電脳空間での戦争。つまり、4次元での戦争が日常で起こっている。」


電脳空間、つまりコンピューターでの情報を奪い合いである。如何に上手く、気付かれずに相手の情報を盗むかが、情報戦争の条件である。


「アメリカ艦隊は主力はサンディエゴに居る。駆逐艦以下の艦艇の一部はサンフランシスコに居るのか。」


レーダーに手に入れた情報を投影する。


「さての本艦隊がイージス艦隊たる意義を示そうじゃないか。今までは、武装の出来る限り温存をしてきたが、もう隠すまでも無かろう。」


影鎖はそう言って、各艦の艦長を東郷の会議室に集めた。



「諸君、遅くなったが。次からはもう、全力で戦う。今までは、武装の使用制限を設けたが、もうその必要も無い。敵は必死、こちらも必死にならなければならんからな。ミサイルもどんどん使え。」


影鎖は集めるなり、そう伝える。


「対米戦終結の兆しが見えて来た。後は、敵艦隊を全て葬って、講和を結ぶだけだ。」


影鎖はスクリーンを下ろし、潜水艦から得た情報を投影する。


「敵主力はサンディエゴだ。この艦隊を、完膚なきまでに沈める。その時、講和を結ぶチャンスとなる。連合艦隊と協力、早急に撃滅計画を実行する。」


影鎖はそう伝えた。もうじき、対米戦は終わる。そう思った艦長達は、安心の顔を見せ始めた。




‐アメリカ合衆国議会議事堂-


「同士ホワイト、アメリカが艦隊を全て失ったら、日本と講和を結ぶ動きがあると聞くが。」


ハリー・ホワイトの許に訪れた、イスハーク・アフメーロフは聞く。


「本当らしい。大統領は臆病風に吹かれたと、議員の一部が言っているしな。」


「それでは困る。折角日本をアメリカに目を向けさせ、南下政策の準備に入るために戦端を開かせたのに。それでは、戦争が終わってしまい、南下政策は準備不足で決行しなくてはならなくなる。」


「モスクワは落ちたのに、まだ南下政策を続けようとするのか。」


「ジダーノフ同志からの指令を伝える。日本とアメリカ本土に上陸するまで戦え。日本がアメリカに上陸しだい、我々は南下政策を実行する。」


アフメーロフがホワイトにそう伝える。


「分かった。最悪は、大統領には死んでもらう。」


ホワイトはそう答え、部屋を出る。

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