竹島奪還戦
-日本軍総司令部-
「竹島は現在、我が空母艦隊並びに輸送艦隊を派遣しました。」
輸送艦隊は海軍所属の『くにさき』、他は元民間船舶で、2015年に防衛省に買い取られ、輸送能力向上の為の改装を施された『なっちゃん姉妹』や『びなす』、『ブルーライン』である。
「奪還の為には十分な装備です。隊員には88mm砲他、火砲を持たせました。小銃などの武装も完璧です。」
「元韓国軍を甘く見るな。奴らはあれでも北朝鮮と戦うために訓練されていた軍。陸軍に関しては、高い練度があると思わねば。」
(問題は、元北朝鮮軍が何処まで実力を隠していたかだ。虎号改など、まだ不明な点も多い。)
北里は竹島の地図を眺めながら、そう思った。
「大臣、総理からのお電話です。」
「繋げ。」
西澤からの電話を受け、繋がせる。
「はい、総理。」
『北里大臣、出来る限り早く終結させてくれ。インド他、対中包囲網参加国から再三に渡って要請されている。これ以上、会議を引き延ばすことも出来ない。』
「承知しております、総理。もはや、日本は本気だという事を共産主義者等に見せ付けましょう。そして、アメリカにも。」
『君個人の考えは別に構わんが、こっちの身にもなってくれないか?まあ、今まで優柔不断な政策を続けていたのが仇となったのは事実だがな。』
「総理、私は前に言いましたよね?。私は、日本が独立国だと思った事は一度も無いと。他国の言い様にされ、自分達だけでは何の政策も打ち出せなかった。歴史教科書にしても、領土問題にしても、日本は全てにおいて他国に言われるがまま譲歩し続けた。TPPにしてもです。あれで、日本の文化は崩壊寸前にまで追い遣られた。」
『北里君、もうTPPの事も。いや、21世紀初期の政治の汚点は何も言わんでくれ。』
「総理、日本はもう飛行機に乗りました。何処に向かって着陸しようと、途中で止まることは許されません。止まれば、飛行機の様に墜落する。もう、飛び続けるしかありません。だから、ハッキリと言います。総理になるべくして生まれた貴方に、ハッキリと言います。自国の道を、ハッキリとそこで宣言してください。」
『・・・・・分かった。北里君、任務の成功を期待している。』
「お任せ下さい。そちらでの会議、良い結果で終わることを期待しております。」
『そう、祈っててくれ。』
そう言って、電話が切れた。
(総理、まだ少し迷いがあるんですね。吹っ切れたと見えましたが、やはり貴方は生粋の日本人ですよ。だから、ハッキリと外国に物言いを出来ない。)
総司令部内に掲げられている、国旗を見る。
(それが、日本。そして、日本人なのですから。)
北里は、地図を見る。
(しかし、だからと言ってこれ以上他国に、自国の領土を占領されて良いと言う理屈にはならない。)
「空母艦隊より、作戦開始海域に到達したとの報告あり。」
「直ちに、攻撃を開始させろ。」
-赤城-
「艦載機を展開します。」
翼を広げたF19艦上戦闘機がカタパルトに待機している。それが、第一弾として打ち出される。
「第二弾、発艦用意。」
作戦に参加している、赤城、加賀、飛鳥、奈良。どれも、真清によって提供された未来空母。赤城と加賀はニミッツ級そっくりだが、性能は段違いである。
「飛鳥と奈良はスキージャンプ台から発艦する。制空装備しか出来ないから、対地攻撃は全てこちらが引き受ける。」
-竹島(韓国名、独島)-
「お、おいあれ!?。」
海上に現れた日本輸送艦隊を見つけた竹島警備隊は、急いで戦闘態勢に入る。
「航空機を上げろ!!。戦車隊も展開させろ!!」
「了解。」
命令を受けたyak141が2機、上昇する。戦車も、虎号改やK2が展開する。
「れ、レーダーに機影探知!!。」
そう言った瞬間、上昇した戦闘機は撃墜される。
「くそ。敵機が来たか。」
対空車両を展開して反撃を試みるが、数が多い。
「敵機、数が多くて反撃が思うように出来ません。」
-くにさき-
「上陸する。エアクッション、出撃。」
後部から揚陸用ホバークラフトが各艦から出撃した。戦車や、武装した隊員を満載しているホバークラフトは、上空を戦闘機に守られながら上陸する。
「トーチカから機関銃が狙っております。」
エアクッションから降りた隊員は、戦車や岩を陰に海岸に展開する。しかし、トーチカは戦車の仰角以上の位置に備えられており、サスペンションを使っても狙えない。
「任せろ。」
隊員の一人が、88mm砲を構えてトーチカを狙う。
「対戦車ランチャーの要領で撃てば、中る。」
引き金を引き、トーチカを吹き飛ばす。
「急げ急げ。」
戦車の陰に隠れながら、前進する。
「K2や虎号改です!!。」
10式戦車が破壊され、他の各車両が反応して攻撃する。
「奴ら、こんな辺境の地に新型戦車を投入したのか。」
数台が上り坂に位置に居座って、攻撃している。
「航空支援、戦車を吹き飛ばせ。」
AH-64D戦闘ヘリの支援が来て、敵戦車を吹き飛ばす。
「チェーンガンの支援を受けている。このまま前進するぞ!!」
「司令部が見えました。」
戦車隊と隊員は、敵司令部を捉える。
「各車、一斉攻撃用意。」
戦車が横隊に並び、主砲の角度を上げて狙いを調節する。また、隊員の中で88mm砲を持っている者は一緒に構える。
「撃って!!」
一斉攻撃を開始。120mm砲弾、140mm砲弾、88mm砲弾。威力としてはかなり高い砲弾が、司令部に次々命中する。
「司令部がまだ崩落しません。降伏の気配も全く見せません。」
「次弾装填。」
もう一度装填し、狙いを付ける。
「次やったら崩落しますよ。」
「撃て!!。」
再び一斉射撃を行い、司令部が崩落する。6時間の短い戦闘だったが、司令部崩壊で戦いが幕を閉じた。
竹島の地形は、現実の地形をモデルにオリジナルの地形を構成しました。ですので、現実の地形とかなりかけ離れております。
88mm砲はまだ出番が少ないです。
自衛隊員にも色んな人が居ると思って、人柄をそれぞれ変えているが、不評の自衛隊員も居るんだよね。




