陰謀と新たな作戦
―警視庁―
「恐ろしいな。」
警視庁では、映像を見て驚くべき真実を知る。
「北朝鮮を援助していたのが、まさかアメリカだったとは。」
金正日とケンリ―大統領の密談が記録されていた。何処かの地下での会談の様子だったが、声なども聞こえている。
「アメリカが、韓国への侵攻を促したんですね。」
「連中としては、北朝鮮を潰すための大きな名目が必要だったのだろう。今現在の国土じゃあ、革命は起きにくそうだったから、何処かで革命が起きてくれたら、アメリカはそれを助けると言う名目で戦い、属国化しようとしたのだろう。」
「アメリカは、何処まで他国から血を吸う気ですかね?」
「そんじょそこらの吸血鬼よりも吸ってるよ。」
もう、全員がアメリカの覇権主義に呆れていた。
「自分の国の利益しか考えないんだ。そうじゃなきゃ、アメリカに思いやり予算を合わせて、年間6000億以上は軽く支払っていたのに、簡単に同盟を破棄できるのはそれが理由だよ。」
「それで、どうする積りだ?」
「総理がインドから帰国したら、直ちに報告する。それまでは、各エージェントに慎重な行動を命じる。警察の方は、市場の経済操作を行っている犯人を早急に捕まえてもらいたい。」
「分かっています。」
―日本軍総司令部―
「対新羅戦として、緒戦の航空戦は何とか勝利できた。」
北里は一同を見回して言う。
「そして、手始めに今まで、韓国に不当に占領されていた竹島奪還を目指す。」
「竹島は、衛星写真を見る限りはヘリポートが耐熱処理され、新羅軍のYak141が配備されております。」
「その他、武装警備隊と少数ではありますが戦車が確認されております。」
写真を写しだす。ヘリポートにははっきりと戦闘機が映し出されている。そして、島には20台ほどの戦車も存在している。
「戦車は何か分かるか?」
北里は衛星写真だけでは判断できず、詳細を聞く。
「これが、先ほど無人偵察機から送られてきた写真です。」
机の上にその写真が置かれる。
「T14じゃないか!?」
北里は驚く。ロシアが提供を拒否した筈なのに、なぜかT14が竹島に居た。
「いいえ。外見が非常によく似せられております。性能もほぼ同レベルでしょうが、これは虎号改です。140mm滑空砲など、新鋭装備で武装しております。」
「驚いたな。北朝鮮が旧式ばかり保有していると言う考え方を改める必要があるな。」
北里は、2015年になってからの北朝鮮の近代化には脅威を感じていた。中国程では無いが、いずれは中国と並んで脅威になる事も予想できていたため、日本の更なる近代化を急がせたのだ。
「ええ。ですが、本土の写真を見る限り。面白い物も映ってましたよ。」
別の写真には、
「ははは。こりゃあ凄い骨董品だな。零戦、隼、一式陸攻、P51、F4U。本当に飛べるかって思えるような物ばかりだな。」
「飛べるでしょうね。最近になって、急に本格的整備が始まったって話を聞きますから。」
「連中、エアショーで稼ぐつもりかよ。」
北里は腹を抑えて笑い始める。
「冗談はそこまででお願いします。この中に木製機なんかあったら、レーダーに映りにくいんですよ。それじゃあ、防空網を突破される恐れがあります。」
実際、ゼロ戦などを極々一部ながら木製にしようとする話が存在していた。
「木製機があると思うか?」
北里は笑うのをやめ、真面目に話し始める。
「可能性としてはあります。」
「そうか。舞水端里弾道ミサイル基地の動向も気になる。竹島奪還後、直ちに破壊に向かう。」
「了解しました。」
総司令部内は、作戦準備の為に慌ただしくなりはじめた。竹島を奪還後、いよいよ日本は他国領土に進撃する事になるのだから。
―ニューデリー―
「日本は現在、新羅との戦闘も発生しており、とても中国にのみ兵力を割ける状況ではありません。」
西澤は自国の現状を報告する。
「それは分かっております。しかし、我々だけではどうしようもありません。幾つかの国の軍は国境を突破しましたが、それでも進撃はゆっくりなんです。このままでは押し返されるのも時間の問題です。」
インド代表のモハンダス・ババはどうしても日本の協力を受けたかった。対中包囲網参加を一番日本に強く呼びかけていた国でもあるインドは、日本を信用しての要請だった。
「何とか、兵力に余裕が出たら割きますが、それまでは難しいです。」
日本は、この戦争だけでは無かった。次に欧州諸国と手を組んでアメリカと戦わねばならないからだ。だから、犠牲を抑えたのが本音。
「では、一時休憩とします。」
議長も兼ねるモハンダスは、休憩を促した。
T14はT90に140mm滑空砲装備や電子機器の換装等を行ったと考えてもらっていいです。
ちなみに、グーグルアースで北朝鮮を見てみると、隼などのそれらしき機体が映っているらしいです(作者未確認)。
次回は昭和編です。