空中戦
韓国空母の艦名を変えました。一部にて、対日を意識する韓国にはらしからぬ艦名だと言われたので。
―日本軍総司令部―
「現在、朝鮮は国名を新羅と改め、南部に航空機を集結させております。水上艦艇は今の所、目立った動きはありませんが、潜水艇は活発に動いております。また、陸軍の方は一部は平壌へ引き返しましたが、南下する部隊の方が目立っております。」
朝鮮半島は、国名を新羅と改めた。朝鮮を統一した国名に変えたことで、朝鮮統一を世界に知らしめたのだ。
「金正日の考えそうなことだ。年なのに、未だに政治に関わっている。」
「日本も、比較的高齢の人が政治に就いているんですから、言えないでしょう。」
「ま、確かにな。それにしても、潜水艇が活発に動いているのは気になるな。」
北里は、潜水艦の行動を不審に思う。
「弾道ミサイル、テポドンも舞水端里基地に集結しているようだし。ちょっと、警戒すべきだな。」
「長官はどうお考えで?」
「元北朝鮮の潜水艇は主に工作員を他国に侵入させるために設計された艦艇が多い。舞水端里の弾道ミサイルは、どのタイミングで発射されるかがカギだな。」
「工作員が、潜入していると?」
「可能性の話だ。だが、中国との戦いの関係で日本海の西側の警戒を厳重にしてしまった為に、東側は手薄だ。向かわしてはいるが、それでもまだ到着していない。そこを突けば、騒音の激しい元北朝鮮の潜水艇でも突破できる。」
「新羅も、主力の潜水艦はやはり、元北朝鮮の潜水艇ばかりです。水上艦艇は世宗大王級駆逐艦が最新です。」
「ああ。しかし、現在新型の李承晩級が2隻建造中だと言う話を聞いた。もし、これが完成すれば、連中はイージス艦を5隻保有する。十分、空母艦隊を編成できる数だ。」
「ええ。偵察衛星では、昨年には3万トン前後の空母1隻を捉えましたし、もう完成しているでしょうね。」
2021年に神風が捉えた写真の中に、韓国が建造したと思われる3万t級空母が写されていた。その後の調査で、存在と戦闘力、艦載機などが具体的に判明した。
「スクリーンに映せ。」
北里が命じる。すると、スクリーンに3DCGで3万t級空母と搭載機が写される。
「艦名は盧武鉉。艦載機はF4を艦載機装備にし、またVG翼の改造が行われております。他に、F18と思われる戦闘機が甲板上に存在しておりましたので、艦載戦闘機はこの2種類だと思われます。また、ベル412やka32なども艦載機として配備しています。」
その時、北里が手を上げる。
「すまないが、情報ではF4は全てKFXに置き換えられると聞くが。」
「その通りです。しかし、海軍がそれを買い上げ、幾つかの改修を行い、空母の搭載機として組み込んだのです。現に、目立つところでVG機となっているではありませんか。」
「となると、母艦自体を沈めんと、F4はまだ予備機があると言う事か。」
「F18の予備機は少ないと思われます。KFXの研修機として50機程度が納入された程度なので。」
「KFX。つまり、KF17が韓国勢力では手強いと思われます。北朝鮮は旧式が主力を務めておりますので、大した脅威では。」
その時、慌てた様子で連絡員が入ってくる。
「た、大変です。新羅が、Su37を大量に飛ばして制空権確保を行っております!!。」
「何だと!?」
北里を始め、全員が驚く。
「Su37と言えば、ロシアが正式採用を見送った機だろ?」
「はい。恐らく、極秘で北朝鮮に納入されていたと思われます。韓国の戦闘機はアメリカ製なので、ロシア製を導入した北朝鮮が保有していたと思われます。」
「スホーイ社め。買ってくれるなら、何処でもお構いなく売りやがって。」
「仕方ありませんよ。折角莫大な額を掛けて設計したのに、軍が採用しなかったのですから。」
「畜生。連中、何処が練度低いだよ。めちゃくちゃ高えじゃないか。」
Su37得意のクルビット機動で空軍機を翻弄し、撃墜する。
「こちとら、3機も喰われた。」
F15とF22が迎撃に上がって、何とか喰い止めている。しかし、制空権は徐々に新羅側に移り始めた。
「おい、小松基地。応援を寄越してくれ。これじゃあ、突破される。」
中部航空方面隊管轄の小松基地には、現在新羅との戦闘に備えてF3などの空軍最新鋭機が配備されている。それらを総動員して、迎撃に向かわせた。
『F3が向かっている。もう少し耐えてくれ。』
「ステルス機か。とにかく早くしてくれ。連中、損害に構わず突破する勢いだ。」
『連中の狙いは片道攻撃だ。十勝基地、空軍戦略航空隊を狙っているものと思われる。』
無線で迎撃隊は新羅空軍の狙いを知る。
「恐らくは正解です。進路も、十勝方面ですから。そこに、戦略航空隊が存在するんですね?」
『そうだ。極秘だから、言うなよ。』
「了解しました。だったら、尚更守らないとな。」
パイロットは覚悟を決め、戦う。
「こな、くそ。」
しかし、F15でもSu37を相手にするのはきつ過ぎる。設計思想が20年も違うだけで、性能に差が出るのだ。
「一直線に向かえば、帰れる見込みがあるのに。」
ようやく捉え、トリガーに指を掛ける。
「F22最初の撃墜は、俺が貰う。」
F22のパイロットは初の実戦で撃墜したと言う名誉ある称号を手に入れる。
「よくやった。世界初のステルス機による実戦での撃墜だ。」
F22を運用する第201飛行隊は元々は千歳基地勤務だが、今回は日本海の守りに投入された。同じく、日本海の守りに投入されたF3「心神」を運用する部隊は第203飛行隊である。
『こちら、第303航空隊。世界初のステルス機による実戦撃墜、おめでとう。』
「ありがとうございます。」
撃墜を記録したパイロットはお礼を言う。
『応援部隊の306飛行隊と203飛行隊が来たぞ。協力して蹴散らす。』
「了解しました。三沢基地からの第3、8飛行隊も到着しました。」
『そうか。日本の空を守る飛行隊の半分が駆けつけたか。』
「それじゃあ。」
『ああ。撃墜だ。』
各飛行隊は、分散して敵機を各個撃破し始める。元々、編隊空戦を基本として戦う自衛隊時代の名残が未だも残っている(っと言っても、改名してから日は経っていないが)。なので、編隊空戦はお手のものだった。
「最後の一機は俺が貰う。」
最後は心神がSu37を撃墜。決着が着いた。しかし、こちらもF15を3機も失い、1機は煙を吹きながらの帰還だった。撃墜された方のパイロットは全員が脱出に成功。相手も、何機かは脱出した。
―日本軍総司令部―
「航空戦は何とか勝利しました。しかし、戦闘機3機を失ったようです。」
「パイロットが生きていれば良い。機体は幾らでも替えが効くからな。」
「はい。」
北里は地図を見直す。
「やはり、気になる。」
「え?」
「連中、ただ航空戦を仕掛けただけだろうか?。もっと、何かあるんじゃないか?」
「何かといいますと?」
「定規を。」
北里は定規を受け取り、地図に敵戦闘機の進路を引く。
「これだ。」
「っと、言いますと。」
北里は一点を指す。
「ここに、確か原発があったよな?」
「え?ええ。泊発電所が。しかし、現在は陸軍歩兵部隊が機甲師団と合同で警備しておりますが。」
「空から攻撃されたら対応できん。千歳基地には、練習航空隊が配備されている程度だからな。」
「確かに。」
「それに、潜水艇の行動も気になる。もし、航空隊と共同でここを占領する計画だったら?」
北里は恐ろしい事を言う。もし、ここが臨界を越えて爆発すれば、北海道全域に死の灰が降り注ぐ。
「潜水艇は、ここに向けて工作員を派遣したんだ。至急、現地守備隊に厳重警戒を命じろ!!。24時間体制で、許可なく寝た者は射殺しても構わんとな。」
「りょ、了解しました。」
連絡員が慌てて出て行く。
「やってくれたな。」
北里は地図を睨みながら言う。
「ここが吹っ飛べば、北海道は今後100年以上は人が住めない不毛の地になる可能性がある。それだけは何としても避けなくては。もし、吹っ飛べば、日本の政治も一緒に吹っ飛ぶしな。」
北里は全滅してでも死守しろと再び厳命した。
何か、原発を破壊しようとする話をよく書いているけど、別に作者は原発反対ではありませんから。
そこら辺は、勘違いなさらない様に。